前回は、不動産投資の基本的な指標について説明しました。今回は、不動産運用で得られる「節税効果」について具体的に見ていきます。

他の投資と決定的に違う「不動産運用」のメリット

不動産は、公務員にとって数少ない節税効果のある投資対象です。株やFXで得た不労所得は損益通算できません。損益通算とは、公務員としての給与と、その他の収入を合算してから確定申告することです。

 

ところが、不動産運用の収支は損益通算が可能です。ここが株やFXと不動産運用の税
制上で決定的に違うところです。不動産運用では、その収益を事業所得として、収入から減価償却費やローン金利といった費用を差し引いて計上することができます。具体例を使って説明しましょう(ここでは、わかりやすくするために各控除は考慮しません)。

 

公務員としての年収が700万円だとします。税率は所得税プラス住民税で33%です。
したがって、納税額は231万円です。そこで、6000万円の中古アパートを自己資金1000万円、銀行からの融資5000万円で購入します。物件を所有することで減価償却費や金利、登記代、火災保険料、リフォーム代などが経費として計上できます。

 

ここでは、減価償却費が250万円、金利が100万円、その他を合計して700万円を経費とします。この物件は家賃収入が年間約500万円です。家賃収入から経費を引きます。

 

500万円(家賃収入)−700万円(経費)=−200万円
この200万円を公務員の年収から差し引くことができます。
700万円(給与所得)-200万円=500万円
結果として納税額は次のようになります。

 

500万円×30%=150万円
231万円(物件を所有しないとき)−150万円(物件を所有しているとき)=81万円

黒字化すれば節税効果は基本的になくなる

不動産運用によって81万円の節税ができました。ここでよく理解していただきたいのは、節税は不動産運用の赤字によって実現するということです。この例でいえば200万円の赤字です。

 

しかし、この赤字には「減価償却費250万円」が含まれています。これは、損益通算する際にマイナスしますが、実際に皆さんの手元にある現金が減るわけではありません。あくまで会計上のマイナスです。つまり、実際には250万円-150万円=100万円が現金で手元に残ります。

 

また、不動産運用というものは、はじめてから1年から2年は、リフォーム代などのさまざまな経費がかかるため、マイナス決算になりがちです。この期間を過ぎてからの黒字化を目指すものと理解しましょう。黒字化すれば、損益通算の節税効果はなくなります。つまり、節税効果は、初期段階に限定した付加価値なのです。

 

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本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術

世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術

今川 博貴

幻冬舎メディアコンサルティング

世間一般ではリストラや減給のない理想的な職業と思われがちな「公務員」。だが「分限免職」という形でのクビが存在し、10年前と比べると給与は大幅に減少しているのが現実だ。そんな窮地から彼らを救うのが「不動産投資」であ…

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