前回まで、公務員にとって最強の投資対象は不動産である理由を説明しました。今回は、不動産投資にかかわる基本的な指標についても見ていきます。

日々の情報収集の必要がない不動産投資

不動産投資の成功を左右するのは、立地条件と管理体制です。株やFXのように事前に
勉強したり、毎日情報収集したりする必要はほとんどありません。本当に手放しで、長期
間続けられる数少ない投資です。

 

あえて行った方がいいことといえば、より現状を把握するために管理会社の担当者と密
にコミュニケーションを取ることくらいでしょう。管理会社からは、毎月収支報告書が送
られてきます。しかし、担当者も人間です。たとえ電話でも1年に1回くらいしか話さな
いオーナーと、月に1回は話しているオーナーでは、状況報告や入居者募集の提案内容な
どが微妙に変わってくるものです。

指標を活用した詳細な分析は専門家に任せる

「予備知識はほとんどいりません」。そう伝えると、オーナーのなかには「GPIなどといった基本的な指標は知っておかないとダメでしょう?」と聞いてくる人がいます。
GPI(Gross Potential Income :潜在総収入)とは、満室・滞納なしを前提とした1
年間の家賃収入の総額のことです。

 

ほかにも不動産投資にかかわる指標には次のようなものがあります。

 


EGI(Effective Gross Income:実効総収入)
GPIから周辺相場の空室率を差し引いた空室損、一括借り上げ(後述)の手数料、滞
納者がいる場合の未回収損を差し引き、さらに駐車場や自動販売機などの雑収入を足した
実際に入ってくる収入。EGI=GPI-空室・各損失+その他収入

 


NOI(Net Operating Income:営業純利益)
EGIから固定資産税などの税金、不動産管理会社への手数料(後述)、共用部分の電
気代や水道代などの運営費を差し引いた金額。NOI=EGI-OPEX(運営費)

 


ADS(Annual Debt Service:年間元利返済額)
年間の元利返済総額。元利金等返済の固定金利ローンの場合、ADSは毎年一定額となる。ADS=年間元金返済額+年間利息返済額

 


BTCF(Before-Tax Cash Flow:税引き前キャッシュフロー)
NOIからローン返済額や所得税などの年間総返済額を差し引いた、最終的に手元に残
る金額。BTCF=NOI-ADS

 


ATCF(After-Tax Cash Flow:税引き後キャッシュフロー)
収入を得たことによって発生する税金を差し引いたものが税引き後キャッシュフロー。
対象物件に不動産投資したときに発生する税金などを差し引いた実際の収益。ATCF=
BTCF-TAX

 

これらのほかにも、不動産投資にかかわる指標は、まだまだあります。知っているか知らないかでいえば当然知っておいた方が、物件を見極めるにおいては有利でしょう。しかし、毎日忙しく仕事をしている皆さんが、これらの分析に時間を費やすのは困難なはずです。

 

これらの分析は、私たちのような不動産会社や管理会社が請け負います。投資物件に精通した優れた担当者ならば、このような指標による物件の分析はもちろん、さらに専門用語を使用せずにわかりやすく物件のメリット・デメリットを説明してくれます。

本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術

世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資術

今川 博貴

幻冬舎メディアコンサルティング

世間一般ではリストラや減給のない理想的な職業と思われがちな「公務員」。だが「分限免職」という形でのクビが存在し、10年前と比べると給与は大幅に減少しているのが現実だ。そんな窮地から彼らを救うのが「不動産投資」であ…

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