認知症はタイプ別に症状が異なり、経過も治療も予後も介護の仕方も違ってきます。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれる時代。家族や身の回りの人が正しい診断を受けているか判断するためにも、認知症についての知識を深めておきましょう。今回は、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏が、認知症の代表的な4疾患の特徴や症状について解説していきます。

認知症のタイプにより「症状・経過」が異なり…

認知症のタイプにより症状や経過が少し異なり、経過も治療も予後も介護の仕方も違ってきます。タイプを正しく診断しなければその後の方針決定をも誤ることになります。主な認知症タイプの特徴について以下に概説します。ただし、混合型認知症といわれる重複例もあります。例えば、アルツハイマー型認知症と血管性認知症の合併例などです。

 

[図表2]大脳半球各葉(前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉)の働き

 

[図表3]主な認知症のタイプででる代表的症状

「当たり前にできていたこと」ができなくなってしまう

認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたために、今まで当たり前にできていたことができなくなり、生活する上で支障が出る状態をいいます。記憶障害・認知障害が根本(中核症状)なのですが、周りの人との人間関係に影響する行動や言動(周辺症状:BPSD、ビーピーエスディー)も大きな問題です。

 

認知症を引き起こす原因疾患は、脳変性疾患と脳血管障害です。変性疾患は脳細胞や神経間ネットワークがゆっくりとですが障害を起こすもので、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがこれに当たります。脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化症などによって起こるのが血管性認知症です。

 

[図表4]健常な脳、アルツハイマー型認知症など変性疾患、血管性認知症

 

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梶川 博

医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長

 

広島県広島市出身。1957年修道高等学校卒業、1963年京都大学医学部卒。1964聖路加国際病院でインタ−ン修了、医師国家試験合格、アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格、1968年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1970年広島大学第二外科・脳神経外科(助手)、1975年大阪医科大学第一外科・脳神経外科(講師、助教授)。1976年ニューヨーク モンテフィオーレ病院神経病理学部門(平野朝雄教授)留学。1980年梶川脳神経外科病院(現医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター)開設、現在会長。医学博士。

 

森 惟明

医学博士

 

大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインターン修了。1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1968年日本脳神経外科学会認定医。1969年京都大学脳神経外科助手。1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。1975年京都大学脳神経外科講師。1979年京都大学脳神経外科助教授。1981年高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。1992年第2回高知出版学術賞受賞。1996〜2000年高知県医師会理事。1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。2000〜2001年国際小児神経外科機関誌「Child’s Nervous System」編集委員。2000年高知大学名誉教授。著書多数。 

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法~改訂版』より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

梶川 博 森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。 国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を知ることで、ならない工夫、なってからの対応を身に付けましょう。 「三大疾患に負けないシリーズ」第1弾!

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