(※写真はイメージです/PIXTA)

せっかく時間とお金をかけて若手社員の採用に成功しても、新卒で入社した社員は3年以内に約3割が離職してしまいます。早期離職を防ぐために何をすべきでしょうか。※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

新入社員の離職率は30%!定着率を上げる法

人事・人材分析では、通常人員構成や知識スキル充足度、人件費、満足度、退職率等を見ていきますが、ここでは近年注目されている以下のいくつかのポイントについて見ていきましょう。

 

(1)エンゲージメント(愛社精神)を高め、早期退職を減らす

ここ20〜30年若者の仕事や会社に対する意識の変化により、入社3年以内に3割の新入社員が辞めるというような状況が続いています。一方で少子高齢化により若年人口が減り、第2新卒と呼ばれる最初の会社を辞めた人たちに対するリクールティングサービスが充実してきて、転職そのものがしやすくなっています。

 

こうした状況に対して、「従業員は愛社精神を持って当たり前だ」と考えるのではなく、会社側から、積極的に従業員のエンゲージメント(engagement)を高める活動を行って行こうという動きがあります。

 

エンゲージメントというのは、婚約指輪のことをエンゲージメントリングと呼ぶように、「婚約、誓約、約束」のことを指します。マーケティング用語では、顧客と自社の結びつきのことをし、人事用語としては、「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」というようにとらえられます。

 

類似の言葉に、ロイヤルティ(忠誠心)がありますが、ロイヤルティは、企業と従業員の関係が上下の関係であるのに対して、エンゲージメントの方は、組織と個人が対等で、お互いが貢献し合い、信頼度を高めるという横の関係という違いがあります。

 

伝統的には、日本の企業は従業員に忠誠心を求めてきましたが、一方的な忠誠心では成り立ちにくくなったため、エンゲージメントという言葉が使われるようになってきました。

 

また、従業員満足度という言葉は、会社の制度や施策に対する社員の評価という面があり、エンゲージメントと違いがあります。

 

エンゲージメントが高い企業は、社員のモチベーションが高く組織が活性化しているため、会社の生産性が高いと言われています。

 

エンゲージメントを高めるためには、①組織のビジョンへの共感、②仕事のやりがいの創出、③働きやすい職場づくり、④社員の成長支援等が有効だとされています。

 

(2)満足度調査で、不満点を見つける

従業員満足度の高い会社は、お客様満足度も高いといわれます。従業員がやりがいを持って熱心に仕事をすれば、お客様の満足度も高まるという考え方です。お客様満足度をCS(Customer Satisfaction)というのに対して、従業員満足度をES(Employee Satisfaction)といいます。その従業員の満足度を調べるのが、従業員満足度調査で、モラルサーベイ等の呼び名もあり、いろいろな機関でサービスを提供しています。

 

従業員満足度の構成要因には、職場の人間関係のように、良くないと満足度が下がる要因と、仕事のやりがいのようにあると満足度が高まる要因とがあります。

 

不満要因が多くなると、早期退職や離職に繋がる可能性がありますので、定期的にサーベイを行い、不満要因を取り除くまたは軽減する施策を打つ必要があります。

 

また、満足要因を高めるには、先のエンゲージメントの項でもあったような施策を増やしていく必要があります。

 

ポイント

エンゲージメントや満足度を高める施策を打つ

 

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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