(※写真はイメージです/PIXTA)

過重労働の現代人のなかには、「食事に気をつかわない」「健康診断を受けても異常値に気づかない」という方が大勢います。取り返しのつかない状態になる前に…、腎臓内科医・南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が、慢性腎臓病(CKD)にならないために気をつけたい「食事」について解説していきます。

「塩分に気を配る」ための“簡単な工夫”

CKDを悪化させないためには、たんぱく質と同じくらい、塩分の摂取にも気を配る必要があります。これについては、CKDの患者さんはいやというほど病院から言われているはずです。

 

腎臓機能の低下に伴い、ナトリウムを体外へ排泄する能力が落ちてきます。こうしてナトリウムが体内に蓄積されると、高血圧や心不全のリスクが高くなってしまうのです。

 

ただ、「分かってはいるけれど、薄味はおいしくない」と、なかなか制限できない人も少なくないのではと思います。

 

ここでいくつか、減塩の工夫について紹介します。

 

●ハーブやスパイス、酸味で味付けに工夫を

 

どんなに「食材の味を楽しむ」といっても、薄味=調味料を使わない、と思い込んでしまうと、調理のバリエーションが減ってしまいます。マンネリになってしまうのも無理はありません。

 

そこで、活用したいのがハーブやスパイス、薬味です。これらは塩分に頼らずに、味覚にインパクトを与えるので、物足りなさを補ってくれるのです。

 

「辛いものは塩分が多いと思っていた」という人がよくいますが、唐辛子などの辛味は塩分由来ではありません(ただし市販の合成調味料のなかには、味覚調整のために塩分を添加しているものがあるので、表示ラベルの確認を)。

 

ハーブやスパイスの、少しぴりりとした風味は舌への刺激となり、脳が「濃い味のものを食べた」と錯覚するようにも思います。

 

例えばステーキにレモンとハーブ、鶏肉のグリルにわさび、白身魚のムニエルに塩分の入っていないカレー粉を少し、といったようにです。

 

また、酸味を利かせることも、実は減塩にたいへん役立ちます。

 

酸味の代表格といえば「酢」。米酢、穀物酢、ワインビネガーなどいろいろな種類の酢があります。野菜の酢のものや酢豚など、酸味を利かせて調理すると、味付けに塩を使わずにすむか、使ってもごく少量ですみます。

 

酢以外にも、レモンやすだち、かぼすなどの柑橘系の絞り汁も風味が良いものです。

 

【減塩を助ける調味料】

 

薬味:わさび、しょうが、にんにく、ねぎ、みょうが、からしなど

 

スパイス:カレー粉(塩分の入っていないもの)、こしょう、唐辛子など

 

ハーブ:バジル、ローズマリー、ナツメグ、ミント、パセリなど

 

その他:ビネガー(酢)、レモン汁、出汁(塩分の入っていないもの)

次ページ調味料減に役立つ「しょうゆスプレー」とは?

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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