(※写真はイメージです/PIXTA)

防災について、マンションの管理組合には、居住者を守るために万全の備えをしておくという役割が課せられています。管理組合が取り組むべき防災対策にはどのようなものがあるのか、ポイントを解説します。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

防災用品を備蓄しているのは20.3%

これらの防災対策は、法定されたものを含み、重要で責任のある業務の場合も少なくないので、専任の防災担当理事を選任するなどの工夫も必要でしょう。

 

また、近隣自治会等の地域ぐるみで防災対策に取り組んでいる場合には、それに参加や連携することも有効な手段です。

 

災害時に備えて必要なものを用意しておくことは非常に大切です。

 

用意した備蓄品は災害後のマンション居住者の生活を支えるものであり、生命をつなげる糧になるので決して管理費の無駄遣いではありません。

 

しかしながら、災害用の備蓄品についてのご相談では「お金」の問題が多く寄せられています。

 

管理組合で防災備蓄品を備える場合にはそれを保管する倉庫も必要になることや、火災等で各住戸が用意した備蓄品が使用できない場合もありますが、すべての災害用備蓄品を管理組合が管理費で購入すべきなのか、各家庭に任せるべきなのかが大きな議論になります。

 

居住者それぞれの意向も重要ですが、管理組合の財政状況や居住者の年齢層等によって管理組合の意見が分かれるところです。

 

国土交通省の平成30年度の「マンション総合調査」では、非常食や飲料水を備蓄しているマンションは13.4%、防災用品を備蓄しているマンションは20.3%、となっています。平成25年度の調査結果と比較すると、非常食や飲料水を備蓄しているマンションは、平成25年度は8.8%でしたので4.6%増加しています。防災用品を備蓄しているマンションは、平成25年度の調査では26.9%でしたので、6.6%減少しています。

 

築年数が経過したマンションでは、防災備蓄品にお金をかけるより建物の修繕にお金をかけることが優先される場合も考えられます。

 

一般的に、災害の際は、「自助」が70%、「共助」が20%、「公助」が10%といわれております。そうしたことから、飲料水・食料品は各家庭で備蓄してもらうことを前提とし、それ以外の備品も、各家庭で用意することができるものは基本的に各家庭で用意して、管理組合は各家庭で用意するのが難しいものを準備するという考え方を基本としているマンションも多くあります。

 

管理組合が管理費で防災備蓄品を購入する場合はアンケート調査や説明会を十分に行い組合員が理解したうえで総会決議を諮ることが必要です。

 

■マンション共用部火災保険

 

マンションの事故は様々なケースが考えられます。例えばマンション上階からの水漏れ事故、火災の事故が発生した場合、他の専有部分や共用部分にまで損害が及び、被害が大きくなればなるほど損害の金額が多くなってしまうケースが考えられます。

 

また、ベランダやバルコニーから物が落ちてきて通行人にケガを負わせた、何者かにガラスを割れてしまった、自然災害により被害受けるなど、枚挙にいとまがありせん。

 

そのような事故、事件が発生した場合に損害保険が付保されていないと復旧費用の調達や負担が障害となってトラブルになることがよくあります。

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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