(※写真はイメージです/PIXTA)

大地震など災害が発生すると、マンションの建物の被害をはじめ電気、ガス、水道、通信などのライフラインも大きな被害を受けます。大地震発生直後は管理会社などの外部からの支援は期待できず、対応はマンションの住人で実施せざるえません。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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防災業務はマンション管理組合の重要な役割

■マンションの防災・防犯

 

「分譲マンション」と呼ばれる区分所有の集合住宅は600万戸を超え、都市の主要な住宅の形態としてしっかりと定着しています。

 

このように、都市部ではマンションに住むということが当たり前になってきています。マンションは生活の基盤であり、外部からの脅威から、家族や自分自身を守るためにそれなりの備えが必要になります。

 

東日本大震災や熊本地震では、家屋の倒壊などは木造の戸建住宅が多かったことから、マンションは鉄筋コンクリートでできているので安心だと思っている人も多いようです。確かに最近のマンションは基本的に地震に強い「耐震構造」になっています。建物が倒壊しないことも大切ですが、建物の中に住む居住者の身の安全を確保することも重視されなければなりません。

 

また、地震が発生した時に、避難しなければならないのはマンションでも戸建てでも同じですが、避難経路や避難方法ではかなりの違いがあることは知っておかなければなりません。

 

防犯については、最近のマンションにおいて「セキュリティの充実」は必須条件になっています。「防犯カメラやオートロックがあるから」「最上階だから」、泥棒や不審者が侵入する事はなく安心。という心の油断は禁物です。防犯カメラやオートロックがあるマンションや上層階の部屋でも空き巣被害に遭われた住戸は多くあります。

 

■防災に関する業務はマンション管理組合の業務なのか

 

火災や震災などの災害から居住者の生命、身体及び財産を守ることは、マンション管理組合の重要な役割の一つです。標準管理規約第32条第12号には「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維特及び向上に関する業務」として防災が明記されています。

 

防災に関する業務としては、消防法に定められた事項を実施することが「はじめの一歩」です。

 

消防法では、建物にその管理について権原を有する者が存在することを前提としていて、法人格のないマンションの場合は、一般的に管理者又は理事長がこれに当たっています。この「管理について権原を有する者」を通常「防火権原者」と呼んでいます。また、マンションに居住する人の人数50名以上のマンションの防火権原者は防火管理者を設置し、防火管理者として業務をさせなければなりません。(消防法第8条第1項)

 

分譲マンションなど、一般的な共同住宅における防火管理者の実施する防火管理業務は「消防計画の策定」「消火、通報及び避難の訓練」「共用部分における火気の使用又は取扱いに関する監督」等があげられます。

 

マンションに自治会がある場合や、近隣町内会等の地域ぐるみで防災対策に取り組んでいる場合には、その防災訓練やイベントに参加し、あるいは連携して行うことも有効な手段ではないでしょうか。なお、最近、関心の高い風水害に関する事項などは消防法に定められていないので別途対応する必要があります。

 

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