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「人の目の習性」を利用した“看板マーケティング”
人の目は動くものに反応しやすいという特徴があります。視界の端で何かが動くと、その動きに反応して、つい目を向けてしまいます。この特徴は看板にも活かせます。動きをつくり出すことにより、道行く人の注目を集めることができるからです。
その好例がスポーツジムです。スポーツジムは、建物の2階がガラス張りになっていることが多く、外向きにランニングマシンやエアロバイクなどを並べています。これは、運動する人にとっては、外を見ながら開放的な気分でトレーニングできるという効果があります。
一方、建物の前を通る人から見ると、運動している人の動きが目に留まりやすくなり、スポーツジムの存在を認識しやすくなります。つまり、スポーツジムは、運動している会員と、その様子が見えるガラス窓全体を看板として活用しているということです。
路上と2階は距離がありますので、誰が、どんな運動しているかまでは分かりません。ただ、動いていることは分かります。「トレーニングしている人がいるなあ」「結構、人がいるんだなあ」と思ってもらうことで、活気があるジムという印象も与えることができます。
また、ガラス張りにすると、周りが暗くなった時に室内の明かりが外に漏れます。そのため、夕方以降は目立ちやすくなり、存在を周知する効果が大きくなります。
店頭に並べるのぼり旗も、動きで人の目を引く一例です。のぼり旗が風に揺れることで、近くを通り掛かった人は、その動きに反応し、のぼり旗に注目します。のぼり旗の数が多いほど、それらが一斉に動くことによって活気がある店という印象を与えます。
集客ではありませんが、工事現場でよく見られる旗振り人形の看板も、動きによって注目を集め、注意喚起している例です。