※画像はイメージです/PIXTA

相続した土地は、形状によって「不整形地補正率」という補正によって土地の評価を下げられる可能性があります。見た目が四角い形状で不整形とは考えづらい土地でも、少しのゆがみにより不整形地補正率を使った補正ができるケースもあります。そこで今回は不整形地補正率の評価方法について解説していきます。

図表を使った「不整形地補正率の計算方法」

不整形地の評価は、整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額に不整形地補正率をかけて計算しますが、少し計算が複雑になります。できるだけ簡単に理解していただくために、具体例を示して計算方法を説明します。

 

[図表6]図表4の土地Bについて評価額を求めます。

整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額を計算する

まず、不整形地の地積を間口距離(道路に接している長さ)で割った値を、計算上の奥行距離とします。

 

計算上の奥行距離:不整形地の地積400㎡÷間口距離20m=20m

 

計算上の奥行距離は想定整形地の奥行距離を限度とすることから、大小関係を確認します。

 

計算上の奥行距離20m<想定整形地の奥行距離21m

 

したがって、計算上の奥行距離は20mとします。

 

路線価と奥行価格補正率から、整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額を計算します。普通住宅地区で奥行が20mのときの奥行価格補正率は図表に示すとおり1.00です。

 

整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額:路線価100,000円×奥行価格補正率1.00=100,000円

不整形地補正率を確認する

不整形地補正率を確認するために、まず、地積区分表で地積区分を確認します。土地Bは普通住宅地区で地積が400㎡であることから、地積区分はAと読み取れます。

 

[図表7]地積区分表([図表3]再掲)

 

次に、かげ地割合を計算します。

 

かげ地割合=(想定整形地の面積640㎡-不整形地の面積400㎡)÷想定整形地の面積640㎡=37.5%

 

地積区分とかげ地割合がわかれば、不整形地補正率表で不整形地補正率を確認します。

 

普通住宅地区で地積区分はA、かげ地割合は37.5%であることから、不整形地補正率は0.88と読み取れます。

 

[図表8]不整形地補正率表([図表5]再掲)

不整形地の評価額を計算する

不整形地の価額は、整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額に不整形地補正率をかけて計算します。

 

整形地であるとした場合の1㎡あたりの価額100,000円×地積400㎡×不整形地補正率0.88=35,200,000円

 

以上の結果、土地Bの評価額は32,500,000円となります。

不整形地の評価は専門家に任せると安心

不整形地の評価では、不整形地補正率によって土地の評価を下げることができます。長方形や正方形に整形された土地はむしろ少なく、大部分の土地は不整形地であるため、不整形地補正率で評価額を下げられるケースが多いと考えられます。

 

ただし、不整形地の評価額の計算は少し複雑で、想定整形地の取り方を間違えると、その後の計算をすべて間違えて、相続税の納税額に過不足が生じてしまいます。土地の形状が複雑であったり、複数の道路に接していたりする場合などでは、想定整形地の取り方でも高度な判断が必要になります。

 

相続した土地がきれいな正方形でない場合は土地の相続税評価に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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