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厚生労働省『人口動態調査 令和2年』によると、昨年、亡くなったのは137万2755人。1日当たり3750人もの方が亡くなった計算です。いつ家族に万が一が起こっても不思議ではありません。もし遺族となった際、死亡退職金や弔慰金を受け取るケースもあるでしょう。このような場合、相続税はどのように考えればいいのでしょうか。

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死亡退職金は相続税の課税対象

死亡退職金はみなし相続財産となる

死亡退職金は、被相続人が亡くなった後、会社から遺族に支払われます。したがって、被相続人の遺産ではありません。しかし、死亡退職金は被相続人が亡くなったことによって支払われるため、相続税を課税する上では被相続人の遺産と同じもの(みなし相続財産)と考え、相続税の課税対象となります。

 

なお、死亡退職金は、名目が退職手当金や功労金などであっても、実質として被相続人の死亡退職金として支給される金品のことをさします。金銭だけでなく、現物で支給された場合も含まれます。

 

死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税限度額がある

死亡退職金はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡退職金に遺族の生活を保障する目的があることを重視して、一定の非課税限度額があります。

 

死亡退職金の非課税限度額は、次の算式で計算される金額となります。

 

死亡退職金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数*

 

*法定相続人の数には、相続放棄した法定相続人も含めます。また、法定相続人の数に含めることができる普通養子には制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなります。

 

なお、法定相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合は、その部分について非課税限度額はありません。

死亡退職金を複数の相続人で受け取った場合の非課税限度額

死亡退職金を複数の相続人で受け取った場合の非課税限度額は次のようになります。

 

・ 全相続人が受け取った死亡退職金の合計が非課税限度額以下の場合

→各相続人が受け取った死亡退職金の全額が非課税になります。

 

・ 全相続人が受け取った死亡退職金の合計が非課税限度額を超える場合

→次の算式によって、相続人ごとに非課税限度額を配分します。

死亡退職金の非課税限度額 × 各相続人が受け取った死亡退職金 ÷ 死亡退職金の合計

相続税の課税対象となる死亡退職金の範囲

相続税の課税対象となる死亡退職金は、被相続人の死後3年以内に支給が確定したものと定められています。被相続人の死後3年を経過してから死亡退職金の支給が確定した場合は、受け取った遺族の一時所得として、所得税の課税対象となります。

一度受け取った死亡退職金を辞退した場合でも相続税が課税される

一度死亡退職金を受け取ったものの、その後遺族が受け取りを辞退して死亡退職金を会社に返金した場合、死亡退職金は遺族の手元にありませんが、相続税の課税対象となります。

 

死亡退職金は会社の決定によって支給されたものであって、たとえ遺族が自らの意志で受け取りを辞退して会社に返金したとしても、相続税は課税されます。一方、死亡退職金を支給するとした会社の決定が無効になったことで遺族が死亡退職金を返金した場合は、相続税は課税されません。

 

死亡退職金を辞退する場合は、慎重な判断が必要になります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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