(※画像はイメージです/PIXTA)

分散投資は資産防衛の基本です。しかし、ジャンルの異なる商品に分散したつもりが、実は価格変動の背景やパターンが類似しており、実際は分散になっていないというケースもあります。地権者の場合は不動産に資産が偏重しがちですが、その解消にお勧めなのが、国内外のリートと新興国株式です。理由をくわしく見ていきます。メガバンク出身の目白大学短期大学部ビジネス社会学科教授、藤波大三郎氏が解説します。

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日本の地価が「一律に上昇する」現象はもう起こらない

地権者の方の多くは、商業ビル、賃貸マンション、貸地などを経営されていますが、このような方の資産内容は、不動産がほとんどというケースも珍しくありません。

 

すると、リスク分散の観点から、証券・銀行から債券投資を勧められることも多くなります。これは、土地がインフレに対して強く、インフレが起こると地価の上昇も起きることが多かった過去の経験によっています。逆にデフレには弱いので、デフレが長引く場合もあることを考え、デフレに強い債券投資を行うことでリスクの分散を図ろうというわけです。

 

しかし、現在の地価の変動は地価が一律に上昇するということは起こりにくく、ベストの利用形態によって価値を出せた土地の価格だけが上昇していく、そういう時代になりつつあります。

 

不動産は「収益還元法(その土地が将来生み出す収益の総計)」によって評価される時代になりました。ですから、インフレが起きても価格が上昇しない土地もあると考えられます。

 

少子化による住宅受給の緩み、製造業の海外移転による工場用地の需給の緩み、そしてオフィスワーカーの減少によるオフィスビル需要の緩みなど、全般的に見て、土地の価格が従来のように上昇する要因は少ないのです。実際、オフィスビルや店舗などの仲介を手掛ける三鬼商事のデータによると、2021年9月の東京都心5区の平均空室率は6.43%と19カ月連続で上昇しています。

 

これは現在のJ-REIT(不動産投資信託)の価格上昇を見ると、意外に思えるかもしれません。しかし、J-REITの価格が堅調に推移し、分配金利回りが3.5%程度(2021年10月8日時点)であるのは、そうしたなかにあっても賃貸収入が安定している優良物件にしか投資をしていないからです。つまり、選別に選別を重ねた物件だけについて言えるのです。

立地条件という制約を取り払うのが「リート」

これらのことは、商業ビル等を経営されている地権者なら十分な情報を持っていると思われます。そこで、不動産投資に精通している強みを生かし、J-REITや米国等海外のリートに投資を考えらえてはと思います。

 

ご自身の不動産経営は立地条件から逃れることはできませんが、金融商品化した不動産へ投資なら、立地条件の制約から逃れることができます。ご自身の保有されている土地を売却して世界のリートを購入すれば、保有不動産の内容をいわば「入れ替える」ことにもなります。

 

自らの立地条件の制約からの回避を可能にする不動産投資信託を利用することは、資産分散の強力な手段と言えます。さまざまな不動産投資信託に分散投資をすることで、保有資産の多様化を図るのも選択肢のひとつです。

 

不動産投資信託の価格変動ですが、基本は「家賃収入が上昇する場合に上昇」します。これは、経済活動全般がよくなればその可能性が増えますので株式投資信託に似ています。また、インフレにも連動する可能性が高いと思われます。インフレが起これば、家賃収入も増大する可能性が高いからです。

 

しかし、インフレとともに金利が上昇すると、不動産投資信託は総資産の約4割程度の借入を行って物件を購入しているため、収益が悪化します。

 

こうした不動産投資信託の価格変動は、債券とも株式とも異なった動きをすることとなります。不動産投資信託の運用は、借入の限度や、投資対象の不動産の収益性を十分吟味して行われていますが、その基準は絶対的なものではなく、甘くなることもあります。

 

従って、投資対象の不動産のタイプの分散、つまり、オフィスビルか商業施設か等の分散と地域分散、それもできれば我が国だけでなく、世界の各国へ分散することが、リスク低減のポイントになります。

 

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