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第100代総理大臣となった自民党の岸田文雄総裁は、衆議院の解散・総選挙について10月19日に公示、31日に投開票の日程を決めました。もしかすると、景気対策として「期間限定の消費税減税」を掲げる政党が出てくるかもしれず、また、それなりの支持を集めるかもしれません。しかし実際には、人々が期待するような効果は上がりにくいと考えられるのです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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近づく総選挙…消費減税を唱える政治家が出現するかも

総選挙が近づいています。選挙で景気対策が議論されることになるのでしょうが、「消費税を一時的に減税しよう」という政策を打ち出す政党があるかもしれません。日本では、消費税はほかの税と比べても嫌われ者なので、消費税を減税する案は選挙民に受けそうだからです。しかし筆者は、これには反対です。

 

しかし、明記しておきたいのは、筆者は消費税そのものを評価していないということです(理由は後述)。将来、仮に増税が必要となるならば、消費税以外を増税すべきだと思っていますし、将来消費税を廃止して別の税を増税する、というのであれば、それにも賛成するかもしれません。

 

その筆者でさえも、景気対策としての一時的な消費税減税には反対だ、というわけです。それは、景気対策としての効果がそれほど大きくない一方で、無用な景気変動を4回も引き起こすからです。

消費減税したところで、景気への効果は「期待薄」

景気対策が必要なのは景気が悪いからであり、景気が悪いのは、新型コロナによる行動制限で人々が旅行や外食等を控えているからです。今後、仮に新型コロナが収束すれば、人々の生活はもとに戻り、景気も戻るでしょうから、景気対策は不要です。

 

そこで本稿は「新型コロナが収束せずに再度蔓延し、再び行動制限によって景気が悪化した」ことを仮定し、その状況において消費減税が必要か否かを論じることとします。

 

行動制限が消費を抑えているのだとすると、消費税を減税しても人々の消費はあまり増えないでしょう。

 

そもそも普通の人々(観光業界等以外の人)は金がないから消費しないのではなく、金があるのに消費できていないわけです。給付金の10万円はもらったし、飲み会も減っているので懐は暖かいが、消費は減っている、という人が多いはずです。

 

それならば、観光業界や居酒屋等で働いていた従業員等々に集中的に金を配ったほうが、はるかにマシです。気の毒な人を助けるという意味でもマシですし、金がなくて困っている人に金を配れば使うでしょうから、景気にもいいはずです。

 

そもそも消費税は(軽減税率を別とすれば)全員同じ税率ですから、減税すれば、消費の多い富裕層ほど多く減税されることになります。富裕層は「消費税が下がったから消費を増やそう」とは考えないでしょうから、その意味でも、消費減税は景気に効きにくいですね。

 

景気対策という意味では、一律10万円給付のほうがまだマシだと思います。本当に金がなくて困っている人は、受け取った10万円を使うでしょうから。行動制限下では普通の人は使わないでしょうから、一律10万円にも筆者は賛成していませんが、消費減税にはそれ以上に反対だ、ということですね。

 

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