国内物流「非効率が多発」の実態…起死回生の打開策。効果は? (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ネットショッピングの需要が世界中で高まりました。一方、物流件数の増加・複雑化に伴い、人材不足と運賃上昇が課題となっていますが、近い将来これらの課題が解決するかもしれません。

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近未来2030年の物流はどう変わる?

政府は物流生産性革命を提唱し、効率的で高付加価値なスマート物流の実現に向けてIoTやAIの活用を進めています。その基盤として、物流と商流のデータを収集・解析するためのプラットフォーム構築を目標に掲げています。

 

近年の国内物流は、トラック積載率が41%に低下するなど、さまざまな非効率が発生しています。ECの普及により、少量多品種の配送が増えることが予測されますから、積載率は今後、さらに悪化するのではないかとの見方が強まっています。

 

物流に関わるすべての企業が、これまでの常識にとらわれることなく、生産性を飛躍的に向上させ、将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献していくことが必要です。

 

そのためにはIoTなどの最新技術を活用し、データ共有を通じて、生産・運送・販売のサプライチェーンを最適化し、産業全体の生産性を向上させることが重要です。

 

物流は量が集まればコストダウンが可能です。この鉄則は近未来の物流でも不変でしょう。量を集めるには、これまでのようにアナログで企業同士がつながって仕組み化する方法では限界がありスピード不足です。

 

IoTを活用してデータの共有を推進してリソースをシェアリングしていくためのシステム構築が急務でしょう。荷主が保有するオーダー情報をいかに共有するかが最大の難関です。

 

この点については、各企業の意識の改革も必要になってきます。どうしても自社のオーダーデータは企業秘密という考えが優先されるため、そのデータを競合他社と共有するというのはかなりハードルが高いのです。

 

データの扱い方のポリシーやルールを決めて、その環境を整えることが今後の最重要課題ではないでしょうか。それを無視して各企業が個別にIoTに投資しても、各企業の生産性向上にはつながるかもしれませんが、社会問題にまで発展している物流のクライシスへの対策としては不十分です。

 

各企業のデータを共有することで、トラックの積載率を現状よりも20%は向上できるはずです。これはドライバー不足の解消にもつながりますし、在庫情報を共有することで食品ロスなどの問題解決にもつながります。

 

プラットフォーム構築に向けて、ブロックチェーン技術やセンシング技術などの技術ばかりに目が向きがちですが、最大のハードルを無視して改善は進まないでしょう。

 

データ活用では、RFIDの利用も注目されています。普及の鍵は価格です。現在単価1円以下のRFIDなどの研究も進んでいます。単価1円以下を実現できれば食品などにも普及が進むため、バーコードに変わる日も近いでしょう。

 

経済産業省では、コンビニ各社、ベンダー、有識者などの協力のもとで実務者会議を開催し、RFIDの利活用拡大に向けたロードマップを策定しています。

 

その活動のなかで、セブン‒イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズと共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を掲げました。2018年には「ローソン丸の内パークビル店」(東京都千代田区)でRFIDから取得した情報をサプライチェーンで共有する実験を行っています。

 

実験では、商品一つ一つに貼付されたRFIDを活用することで、サプライチェーンにおける在庫情報等を可視化し、サプライチェーン各層の連携の強化を目指しています。

 

「スマート物流」は2030年に向けた近未来物流の象徴となるのでしょうか。そのための技術開発は政府主導でも進んでおり、日本の成長戦略の一環として取り組まれています。そのなかで最も実現性が高く、威力を発揮する技術の一つがRFIDであることに疑いの余地はないでしょう。

 

RFIDの普及によってデータの共有がされることで物量が集まり、産業全体の効率化が可能となり、リソースの共有につながります。私が考えるスマート物流の実現に向けたポイントは次の3点です。

 

1 流通業界でのRFIDの普及

2 データ共有のためのセキュリティ技術開発

3 データ共有に対する意識改革

 

オーダー情報や購買情報をリアルタイムで製造業・物流業・同業他社で共有することで、業界を越えた協調領域でのデータ活用が実現できます。在庫は最適化され、積載効率は向上し、運行ルートは最適化され、リソースのシェアリングが実現されます。国内の生産性は最低でも20%は向上し、この最先端の取り組みが世界のモデルとなることでしょう。

 

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株式会社オンザリンクス 代表取締役

1975年、広島県生まれ。高校卒業後、自動車部品メーカーに入社。オフィス用品の販売代理店を立ち上げたのち、Windows98の発売を機にプログラミングを独学で学び、ソフトウェア開発に着手。1999年11月、株式会社オンザリンクスの前身となる会社を創業。2008年9月、同社の代表取締役に就任。同社が開発した倉庫管理システムパッケージ「INTER-STOCK」の導入企業は800社を超える(2021年時点)。

現在は物流デジタル化に課題を抱える企業のデジタル化を支援しながら、国内の物流事業者と荷主をデジタルでつなぐ「Jailo(ジャイロ)」プロジェクトを立ち上げ、物流課題の抜本的課題の解決に取り組んでいる。

著者紹介

連載中小製造業の経営者を救う「物流DX」への第1歩

※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

多くの中小製造業では、倉庫管理や製品を配送する物流工程に課題を残している可能性があります。例えば、多くの倉庫ではいまだ手書きで帳簿をつけたり、エクセルなどで手動で製品の管理を行っています。また、「手配する」「梱…

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