(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ネットショッピングの需要が世界中で高まりました。一方、物流件数の増加・複雑化に伴い、人材不足と運賃上昇が課題となっていますが、近い将来これらの課題が解決するかもしれません。

「RPA」と「AI」が働き方に変化をもたらす

今後の物流を変える技術として注目されているのが、RPAとAIです。

 

物流業界に限らず、国内の企業では働き方や休み方の改善が進んでいます。これは企業の最大の経営資源である「人材」の能力や経験を引き出し、企業にとっても大きなメリットのある取り組みです。働き方を変えるには、業務の効率化を進め生産性を向上させなければなりません。

 

ホワイトカラーの生産性を向上させるツールとして、最近注目を集めているのがRPA(Robotic Process Automation)です。RPAは企業のホワイトカラーのさまざまな業務を自動化できると期待されています。実際に人件費を80%以上削減した事例も報告されています。

 

物流の領域でRPAは、次のような業務に向いています。

 

1.複数のWEBサイトからの情報収集作業

送り状の荷物ナンバーで配送業社のホームページへアクセスし、発送ステータスを取得する。

 

2.異なるシステム間のデータ転記

WMSの出荷実績データを書き出し、配送業社の送り状発行ソフトへデータを転送する。

 

3.システムの構造化されたデータからレポート作成

WMSや在庫管理システムが管理する出荷実績データや在庫データをエクセル上に転記し、出荷実績レポートグラフや在庫報告レポートを自動作成する。

 

RPAはAIと混同されやすいのですが、RPAは自動実行を主な役割とし、AIはデータの活用を主な役割としている点で異なります。

 

RPAの現時点の役割は「定型業務の自動化」ですが、今後はAIによってさまざまなデータを分析し、その分析結果でRPAが処理を自動実行するという活用が一般的になるでしょう。

 

AIは必要なデータを蓄えて複雑な問題を単純な方法で説明し、解決することができます。この場合のデータ(仮説)は多いほど良いのです。

 

人間の思考で複雑な問題を説明したり解決する場合は、「オッカムのカミソリ」の思考原理が役に立ちました。

 

しかし瞬間的に膨大な量のデータを処理できる人工知能においては、事象を分析する対象となる仮説データは多ければ多いほど興味深い事象を導き出してくれます。

 

定型業務を自動化できるRPAと複雑な問題を単純な方法で解決できるAIはとても相性がいいといえるでしょう。この2つのテクノロジーが組み合わされば、企業のさまざまな業務の自動化と効率化が進みます。

 

物流領域においても例外ではありません。

 

例えば、WMSに基幹システムから出荷指示が取り込まれ、ピッキングリストが発行され、送り状を印刷するといった作業はすべて自動化されます。出荷した荷物の問い合わせもRPAが運送会社のサイトからデータを取得し、顧客の過去の問い合わせデータをAIが分析し、最適な回答が自動応答されます。

 

今後はこうした専属のオペレーターが必要なくなるので、大幅な人件費の削減が可能になるでしょう。

 

 

東 聖也

株式会社オンザリンクス

代表取締役

 

 

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※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

多くの中小製造業では、倉庫管理や製品を配送する物流工程に課題を残している可能性があります。例えば、多くの倉庫ではいまだ手書きで帳簿をつけたり、エクセルなどで手動で製品の管理を行っています。また、「手配する」「梱…

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