「RPA」と「AI」が働き方に変化をもたらす
今後の物流を変える技術として注目されているのが、RPAとAIです。
物流業界に限らず、国内の企業では働き方や休み方の改善が進んでいます。これは企業の最大の経営資源である「人材」の能力や経験を引き出し、企業にとっても大きなメリットのある取り組みです。働き方を変えるには、業務の効率化を進め生産性を向上させなければなりません。
ホワイトカラーの生産性を向上させるツールとして、最近注目を集めているのがRPA(Robotic Process Automation)です。RPAは企業のホワイトカラーのさまざまな業務を自動化できると期待されています。実際に人件費を80%以上削減した事例も報告されています。
物流の領域でRPAは、次のような業務に向いています。
1.複数のWEBサイトからの情報収集作業
送り状の荷物ナンバーで配送業社のホームページへアクセスし、発送ステータスを取得する。
2.異なるシステム間のデータ転記
WMSの出荷実績データを書き出し、配送業社の送り状発行ソフトへデータを転送する。
3.システムの構造化されたデータからレポート作成
WMSや在庫管理システムが管理する出荷実績データや在庫データをエクセル上に転記し、出荷実績レポートグラフや在庫報告レポートを自動作成する。
RPAはAIと混同されやすいのですが、RPAは自動実行を主な役割とし、AIはデータの活用を主な役割としている点で異なります。
RPAの現時点の役割は「定型業務の自動化」ですが、今後はAIによってさまざまなデータを分析し、その分析結果でRPAが処理を自動実行するという活用が一般的になるでしょう。
AIは必要なデータを蓄えて複雑な問題を単純な方法で説明し、解決することができます。この場合のデータ(仮説)は多いほど良いのです。
人間の思考で複雑な問題を説明したり解決する場合は、「オッカムのカミソリ」の思考原理が役に立ちました。
しかし瞬間的に膨大な量のデータを処理できる人工知能においては、事象を分析する対象となる仮説データは多ければ多いほど興味深い事象を導き出してくれます。
定型業務を自動化できるRPAと複雑な問題を単純な方法で解決できるAIはとても相性がいいといえるでしょう。この2つのテクノロジーが組み合わされば、企業のさまざまな業務の自動化と効率化が進みます。
物流領域においても例外ではありません。
例えば、WMSに基幹システムから出荷指示が取り込まれ、ピッキングリストが発行され、送り状を印刷するといった作業はすべて自動化されます。出荷した荷物の問い合わせもRPAが運送会社のサイトからデータを取得し、顧客の過去の問い合わせデータをAIが分析し、最適な回答が自動応答されます。
今後はこうした専属のオペレーターが必要なくなるので、大幅な人件費の削減が可能になるでしょう。
東 聖也
株式会社オンザリンクス
代表取締役
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