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「ロジスティクス戦略」が企業の競争力に直結する
RPAやAIなど最新のデジタル技術を活用して業務の効率化を実現するには、投資が必要です。大企業が物流領域で莫大なIT投資をしていることは、マスコミを通じて報道されています。
しかし、思い切ったIT投資が難しい中小企業や小規模事業者においては生産性向上が伸び悩んでおり、デジタル技術を活用した効率化も進んでいません。
例えば、中小企業の物流の現場ではまだまだ十分にデータの活用が進んでおらず、依然として紙やメールで情報をやり取りする現場が多いのが実状です。古くからのムダを生み出す商習慣も多く残っており、新たなテクノロジーの活用が進んでいるとは言い難いのです。
今後は中小企業における物流領域のデータの利活用によって、人手不足の解消をはじめとした社会問題を解決していかなければなりません。
科学技術イノベーションを実現するために内閣府が主導している「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の次期課題として、「スマート物流サービス」というテーマが採択されています。
これは、生産から消費までのサプライチェーン全体の生産性を飛躍的に向上させるため、職種、業種の垣根を越えて、生産管理、物流システムを構築し、さらには社会実装までしていこうという取り組みです。
現在の物流は、伝統的作業である入庫、在庫、ピッキング、出荷にとどまらず、生産工程の最終仕上げや各種の流通加工も含まれるなど、業務が拡大し、複雑化しています。
そのため、データに基づく定量的かつ体系的なシステム思考が求められています。それがなければ、物流センターの企画立案やオペレーションの設定、あるいは実態にふさわしい設備や機器の選定ができません。
また、現在のビジネス環境では、先端的なロジスティクス戦略によって顧客サービス面で競争力をつけることが求められています。そのためには、物流・ロジスティクス領域の高度なデータ活用が欠かせません。