資産家の父の死で判明した「疎遠の兄」の足跡と想定外の相続人【弁護士が解説】 (画像はイメージです/PIXTA)

家族関係は、いつも円満であるとは限りません。親きょうだいと折り合いが悪く疎遠なケースは珍しくなく、もっとひどいと音信不通で所在も消息もわからないという場合もあります。しかし、その関係を放置していると、相続発生時に想定外のトラブルが生じることもあるため、要注意です。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

父が亡くなり、疎遠な兄の消息を探ると…

Aさんには、長男Xさん、長女Y子さんがいます。

 

Aさんは長男Xさんと折り合いが悪く、Xさんが大学を卒業して以降、ずっと疎遠でした。AさんとXさんはその後、会う機会がありませんでしたが、Xさんがひとり暮らしをしているという話を、Aさんは人づてに聞いていました。

 

ある日、高齢のAさんが急病で亡くなってしまいました。Y子さんはXさんに知らせようとしましたが、連絡が取れません。とりあえずAさんの葬儀などは済ませませたものの、遺産である自宅(1億円)、賃貸マンション(2億円)、預貯金5000万円、株式投資信託等(3000万円)を、Y子さんとXさんで遺産分割する必要があります。

 

ところが、Y子さんのもとに、Xさんの同窓生から連絡が入りました。じつはXさんは、父親であるAさんが亡くなる3ヵ月前に、交通事故で亡くなっているというのです。Y子さんは、万一Xさんに負債があった場合、相続放棄しなければならないと考え、手続きのためにXさんの戸籍を取ったところ、意外な事実が判明しました。

 

Xさんは大学卒業直後の数年間結婚しており、その後離婚はしたものの、Pさんという子どもが1人生まれていたのです。

 

Y子さんは、どうしたらよいでしょうか。

 

①Aさんの遺産は、Aさんの相続開始前に、Xさんが亡くなったので、すべてY子さんが相続することとなる。

 

②Aさんの遺産は、Aさんの相続開始前に、Xさんが亡くなったとしても、Xさんに子どもPさんがいる場合は、子どもPさんが代襲相続人となり、Y子さんと遺産分割協議を行うこととなる。

 

 

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    代表弁護士 

    1965年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1994年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。現在、高島総合法律事務所、代表弁護士。

    不動産会社、個人の資産家等の顧問を務めており、『相続・遺産分割する前に読む本―分けた後では遅すぎる!』、『訴えられたらどうする!!』、『企業のための民暴撃退マニュアル』(以上、税務経理協会)などの著作がある。

    「遺産相続・遺留分の解決マニュアル」をホームページに掲載している。

    著者紹介

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