「養子縁組」という制度は、富裕層の相続対策としてしばしば利用されています。活用法のひとつに、実子の配偶者を養子縁組し、相続人を増やすことで節税効果を狙う方法があります。しかし、もしふたりが離婚することになった場合はどうなるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。
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相続対策として娘婿と養子縁組するも、娘夫婦は離婚へ
Aさんは、貸マンションを何棟も持っている資産家です。
Aさんには、子どもが長女Y子さん1人しかいません。Y子さんが結婚した際に、自分が亡くなったあとは、Y子さんと結婚相手のXさんで財産を守って行ってもらおうと、Xさんと養子縁組をしました。Y子さんとXさんとのあいだに子どもも生まれました。
ところが、結婚して10年経ったところで、XさんがY子さん以外の女性と交際していることが発覚し、Y子さんと離婚をしました。
さて、この場合、Aさんはどうしたらよいでしょうか。
①Xさんは、Y子さんと離婚したので、Aさんの養子でなくなり相続権を失うから、なにもする必要はない。
②Xさんは、Y子さんと離婚をしたとしても、Aさんの養子のままで、養子縁組は一度すると離縁はできないから、Xさんは、Aさんが亡くなれば相続人となる。
③Xさんは、Y子さんと離婚をしたとしても、Aさんの養子のままで、Aさんが亡くなれば相続人となってしまうことから、養子離縁をする必要がある。
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高島総合法律事務所
代表弁護士
1965年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1994年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。現在、高島総合法律事務所、代表弁護士。
不動産会社、個人の資産家等の顧問を務めており、『相続・遺産分割する前に読む本―分けた後では遅すぎる!』、『訴えられたらどうする!!』、『企業のための民暴撃退マニュアル』(以上、税務経理協会)などの著作がある。
「遺産相続・遺留分の解決マニュアル」をホームページに掲載している。
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