写真:PIXTA

コロナ禍からの回復が遅れていたフィリピンでも、徐々に明るい兆しが見えてきました。そのようななかでも出遅れ感が目立つ「割安銘柄」について、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏が解説します。

復調の市場で「株価の戻りが遅い」注目銘柄は?

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世界の株式市場は、中国不動産大手恒大集団の経営危機や、FRBのテーパリング開始が近い米国政府のデフォルト問題、世界的なインフレ懸念等で神経質な展開となっています。このような状況下、フィリピンの株式市場は、外国人機関投資家がコロナ後のフィリピン経済を見据えて資金を移してきていて、比較的堅調です。

 

パンデミックが始まった2020年3月以降、フィリピン株総合指数(PSEi)は70%程度上昇し、節目の7000をうかがっているところです。このようなコロナ前水準に戻りつつあるフィリピン株式市場ですが、今週は、その中でも比較的株価の戻りが遅い、つまりまだ割安と考えられる企業・銘柄・セクターにスポットライトを当てて見ていきます。

タバコ、飲料を主力する「フィリピン10大財閥」のひとつ

最初は「LTグループ(LTG)」です。フィリピン10大財閥の一角の企業ですが、年初来では21.6%株価は下落しています。

 

「LTG」は財閥ですので、傘下に様々なビジネスを保有しています。その一つがタバコ事業で、日本の「JT」とも提携している事業です。コロナによる失業や給与減により、趣向品であるタバコの需要は大きく落ち込みました。

 

また、「アジア・ブルワリー」という飲料事業を展開しています。こちらは、日本の「アサヒビール」と提携しています。それ以外にも「TIGER」「Henieken」などの海外の有名ビールメーカーと提携しています。コロナ禍の節約志向で割高な輸入アルコールが敬遠され、国産のサンミゲルに流れたようです。

 

アルコール以外には、「Absolute」や「Summit」などのブランドでミネラルウォーターを生産、販売したり、ベトナムから輸入したビタミンミルクなども扱ったりと、国内では「サンミゲル社」に次ぐ大きな飲料メーカーです。コロナ禍でバーや飲食店が閉店したことも大きなダメージです。また、パンデミックのために、アルコール販売が制限されたことも響きました。ある意味コロナの影響を最も多く受けた企業の一つで、PER(株価収益率)はわずか3.7倍です。逆に配当利回りは7%と高配当です。

 

また、アナリストコンセンサスの「LTG」のターゲットプライスは約15ペソですが、現在の10ペソ程度なので、50%のアップサイドがあることになります。そう言った意味で、コロナ後の復活振れ幅も大きいことが期待されます。

不動産事業が主力の財閥企業も出遅れ感

次に取り上げるのは、「アライアンス・グローバル社(AGI)」です。こちらも10大財閥の一角をしめる企業で、フィリピンの有名実業家アンドリュー・タン氏がオーナーです。主なビジネスが、メガワールドという不動産ディベロッパーです。また、最近シンガポールにも株式上場した「エンペラドール」というブランデーやウィスキーなどハードリカーのメーカーが傘下にあります。

 

不動産事業としては、マニラ国際空港近くにある「カジノホテル・リゾート・ワールド」の運営があります。当然のことながら、海外からの観光客をターゲットとするカジノビジネスは、大きな打撃を受けています。 また、マニラ中心部BGCに「アップタウン・モール」というショッピンモールを開発・運営していますが、こちらもコロナも影響をまともに受けました。

 

また、ケソン市のイーストウッドやマニラ市のマッキンリーヒルなどで高級住宅地の開発も行っていて、こちらもある程度マイナスの影響を受けました。一方で、オフィス事業はフィリピンのBPOに対する世界からの根強い需要があり、コロナ禍でも堅調に推移しています。

 

同社のアナリストコンセンサス適正株価は13ペソで、現在の株価が10ペソ程度ですから、30%程度のアップサイドが期待できます。PERも6倍なので、割安と言えるでしょう。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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