※画像はイメージです/PIXTA

親が子を養うという関係から、子が親を養うという関係になることは珍しくありません。なかには大きな負担を肩代わりしているケースもあるでしょう。そのようなとき、相続が発生したらどうなるのでしょうか。

立替金として債務にする場合の留意点

では、立替金であるならば無条件・無制限に債務として取り扱うことができるかというとそうではありません。

 

なぜなら、以下の問題点があり立て替えの事実やその金額を客観的に認定・証明することが難しいからです。

 

①本当に子供が代わりに支払ったのか?

↓(代わりに支払っていたとしても)

②本当に立て替えているのか?

↓(立て替えであったとしても)

③立て替え後本当に費用の精算はされていないのか?

 

これについては、以下のような書類をより多く備えておくことで立替金の詳細を複合的に証明することが望ましくなります。

 

<書類>

◆宛名が子供である領収証や請求書

◆子供が支払ったことが分かる振込明細や子供の通帳

◆立て替え記録(メモ)

◆親の通帳など

 

※「②本当に立て替えているのか?」についてですが、次に記載する、「扶養義務の履行」に該当する場合を除いて、基本的に親の費用は親が出すべきものであるため、子供が代わりに支払ったのであれば特別な事情がない限り通常はまず“立て替えている”と考えることはできます。

 

ただし、長い年月に渡って精算がなされていないような場合には、精算する意思がない(立て替えではない)と認められる可能性はあります。

扶養義務の履行として子供が支払った場合には立て替えとならないが…

ところで、親がお金に困っていたら子供は助けるのが当たり前であり、代わりに費用を負担したとしても扶養の義務を果たしただけで立て替えにはならないのではないか、という疑問が浮かびます。

 

実際に民法では親族間における扶養義務についての定めがあり、これによると、「直系血族(親子など)間」には当然に扶養義務が生じるとしています。(877条第1項)

 

また、扶養義務には「生活保持義務」と「生活扶助義務」の二つがあると考えられています。

 

(民法の規定ではなく、通説・判例が従ってきた学者による理論です)

 

「生活保持義務」とは、自分と同じ生活レベルの暮らしを送れるように扶養しなければならない夫婦間や親と未成熟の子の間において当然に生じるものです。

 

「生活扶助義務」とは、自分がまずは身分相応の生活を維持して、それでも余裕があるときは扶養しなければならないというものですが、これは扶養される人からの請求があって生じる義務であると考えられています。

 

すなわち、子が親に対して負う扶養義務は「生活扶助義務」になりますが、子が親の生活費を代わりに支払ったことが扶養義務の履行に該当するのは、“生活費等を負担することができないほどに資力がない親が、経済的に余裕がある子に対して扶養を請求した場合”ということになりますので、少なくとも、相続税の申告が必要なほどに財産(資力)がある人について、扶養義務の履行と判断されることはないのではないかと思われます。

 

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