「配偶者居住権」を活用した相続税の圧縮効果…相続専門税理士が3つの事例で考察 ※画像はイメージです/PIXTA

2020年4月に「配偶者居住権」を設定することができるようになって1年半ほどが経過しました。一般的にも認知が広がり、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士も、配偶者居住権の利用について質問されることも多くなってきたといいます。そこで配偶者居住権を利用する場合の3つの事例から、税務上のメリットや納税者が勘違いしがちな注意点を含め確認していきます。

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配偶者居住権を利用した場合の評価

事例1:「配偶者居住権」を利用しなかった場合と利用した場合

 

・ 夫に相続があったケース

・ 相続人は妻と子の2名

・ 家屋の評価額 500万円

・ 土地の評価額 5,000万円

・ 家屋の構造 木造

・ 新築からの経過年数 10年

・ 設定時の妻の満年齢 70歳

 

[図表1]配偶者居住権を利用しなかった場合

 

[図表2]配偶者居住権を利用した場合

 

配偶者居住権を利用すると、家屋は「配偶者居住権」と「居住建物」の2つ、土地は「敷地利用権」と「居住建物の敷地」の2つに分かれ、それぞれを評価することになります。

 

利用した場合もしなかった場合もその評価額の合計は5,500万円で同じですが、利用した場合には、配偶者が相続する黄色の部分(464万円+2,230万円=2,694万円)と子が相続する緑の部分(36万円+2,770万円=2,806万円)に分かれます。

 

事例2:妻が高齢だとどうなるか?

・ 夫に相続があったケース

・ 家屋の評価額 500万円

・ 土地の評価額 5,000万円

・ 家屋の構造 木造

・ 新築からの経過年数 10年

・ 設定時の妻の満年齢 80歳

 

[図表3]配偶者居住権を利用した場合
 

 

事例2は事例1の妻の年齢を70歳から80歳に変更しています。合計金額が5,500万円である点は事例1と同じですが、妻が相続する黄色の部分の金額を比較すると次のような違いが生じています。

 

・ 配偶者居住権 464万円⇒332万円(△132万円)

・ 敷地利用権 2,230万円⇒1,495万円(△867万円)

 

妻の年齢が若い方が、妻の取得する部分の金額が大きくなります。また、妻の年齢は「配偶者居住権」と「居住建物の敷地」の両方の金額に影響を及ぼし、事例では土地の方が、その影響が大きいことが分かります。

 

事例3: 築年数の経過による影響は

・ 夫に相続があったケース

・ 家屋の評価額 500万円

・ 土地の評価額 5,000万円

・ 家屋の構造 木造

・ 新築からの経過年数 20年

・ 設定時の妻の満年齢 80歳

 

[図表4]配偶者居住権を利用した場合
 

 

事例3は事例2をベースに新築からの経過年数を20年に変更しています(比較のため、家屋の評価額は500万円のままです)。合計金額が5,500万円である点は同じですが、妻の相続する黄色の部分を比較すると下記のとおりです。

 

・ 配偶者居住権 332万円⇒473万円(+141万円)

・ 敷地利用権 1,495万円⇒1,495万円(増減なし)

 

新築からの経過年数が長くなると、「配偶者居住権」の金額は高くなりますが、「敷地利用権」の金額には全く影響がありません。一般的に、家屋の評価額が大きくなることは少ないこともあり、築年数の影響についてはあまり気にしなくて良い要素だと思います。

 

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税理士法人ブライト相続 税理士

埼玉県所沢市出身。2008年、みらい会計税理士法人(東京都豊島区)入社。中小企業の法人税・消費税申告、個人事業主の確定申告を中心に、記帳代行、給与計算、年末調整などの事業者向業務に従事。2011年、税理士法人レガシィ入社。200件超の相続税申告、税務調査対応、相続税還付、遺言や家族信託の組成に関する生前コンサルティング、金融機関を中心としたセミナー講師など、相続関連業務に幅広く従事。2020年、税理士法人ブライト相続入社。

著者紹介

連載実例で解説!相続専門税理士が教える「あなたに合った」相続対策

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