※画像はイメージです/PIXTA

昨今、日本では未婚率が上昇し、生涯独身というケースも珍しいことではなくなってきました。しかし、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の戸﨑貴之税理士は、「おひとりさま」でも相続トラブルに発展するケースも見られるといいます。みていきましょう。

相続人や後継者がいない場合もトラブルは起きる!

相続人が多ければ多いほど遺産分割で揉める可能性が増え、いわゆる「争族」となってしまう可能性が高まります。

 

それでは相続人が少ないケースでは相続トラブルは少ないのでしょうか。確かに、相続人が1人のみであれば、基礎控除額が少なくなるため相続税の負担は高くなるということはありますが、遺産分割は揉めることがないでしょう。ただし、相続人や後継者がいないケースにも相続トラブルは生じます。

ソロ社会が待ち受ける相続問題とは?

厚生労働省が公表した人口動態統計によりますと、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が2021年は1.30であったと公表しました。

 

この合計特殊出生率は6年連続で低下しており、また、出生数も過去最低となります。新型コロナウイルスにより外出自粛の影響もありますが、人口減少に歯止めがかからない状況となります。

 

また、総務省統計局が公表した国勢調査に基づく将来の推計によると、2040年には生涯未婚は男性が3割、女性は2割に達する見込みとなります。

 

相続専門税理士である筆者もこのおひとりさま問題に直面することが非常に多いです。

 

過去にこのような経験がありました。相続人が一切いない「相続人不存在」という状況において、財産所有者の方がお医者様より余命3ヵ月の宣告を受けました。生前に生活の面倒や介護を見てくれていた方に対して財産を渡したいということで相談をいただき、遺言を急ぎ作成することになりました。

 

3ヵ月という余命宣告の期間はありましたが、万が一という事態を想定し、まずは最低限の内容で自筆証書遺言を作成しました。その後、内容も精査した公正証書遺言を作成しました。入院中であったため、公証人の方に病院に来ていただき、病室で公証人の方が遺言内容を読み上げて作成したことが印象的で鮮明に記憶しています。

 

公正証書遺言というきちんとした形で作成することができたため、財産所有者の方の意思も尊重し、国に財産が帰属されてしまうという事態を防ぐことができました。遺言がない場合には手続きが大変になってしまうところでしたが、スムーズに相続手続きを行うことができました。

 

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