(※写真はイメージです/PIXTA)

週3回ほど病院に通い、約4時間を費やさなければならない血液透析。実は「在宅」で可能なのですが、まだ浸透していないのが実情です。その理由と「在宅透析」の詳細について、南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説します。

費用やスケジュールは?在宅血液透析「よくある質問」

在宅血液透析で、よくある質問をまとめてみました。こちらの回答は1つの目安ですので、費用など具体的なところは各医療機関に確認してください。

 

【Q.透析にかかる費用負担は?】

 

治療そのものは公的保険が適用され、透析の場合は自己負担なし、または所得に応じた一定額の負担(通常月1~2万円)となります。消耗品にかかる費用負担もありません。

 

ただし、透析開始にあたり設備の工事など、準備にかかる費用は自己負担となります。工事費用は家屋の状況により幅がありますので、事前に見積もりを取ることが望まれます。

 

また、透析開始後の光熱費も自己負担となります。おおむね透析開始前の1.5倍前後になることが多いようです。

 

【Q.在宅透析なら何回透析してもよいのですか?】

 

施設透析とは異なり、在宅の場合は何度透析しても保険の範囲内となります。透析スケジュールについては、事前に医療機関と相談のうえ決めますが、頻回であるほうが体に優しく予後も良いので、週4~6回、1回につき3~4時間といったパターンを基本とし、患者さんのライフスタイルや体調に合わせて設定することが多いです。

 

【Q.医療機関での透析はしなくてもよいのですか?】

 

在宅血液透析で問題なく健康状態が保たれていれば、施設での透析は不要になりますが、月1回程度来院のうえ、採血や胸部レントゲンなどの検査を受けていただくことになります。その結果から、必要に応じて透析計画を見直します。

 

【Q.水分を多く摂り過ぎたあとは、除水量を多くするなど設定を自分で変えてもいいのですか?】

 

血液透析は基本的に、緩やかに時間をかけて行うほうが体への負担が少なくてすみます。したがって、時間あたりの除水量を増やすのではなく、透析時間を延ばす、または週あたりの回数を増やすことで対処します。

 

自己流で設定値を変えたりすると、急な体調不良を起こすなどのトラブルの元になりかねません。医療機関に相談のうえ、対処してください。

 

 

鈴木 孝子

南青山内科クリニック 院長 

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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