医療機関「患者にとってはメリットだが…」在宅透析のジレンマ (※写真はイメージです/PIXTA)

週3回ほど病院に通い、約4時間を費やさなければならない血液透析。実は「在宅」で可能なのですが、まだ浸透していないのが実情です。その理由と「在宅透析」の詳細について、南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説します。

「在宅血液透析の健康上のメリット」理解していても…

在宅血液透析は、患者にとってスケジュールの自由が利き、かつ十分な透析ができるので予後も良いといった大きなメリットのある透析方法ですが、今のところ行っている人は全国で750人程度、普及率は透析患者全体の0.2%に過ぎません。

 

これには、自分で穿刺(せんし)したり器械を操作したりすることへの不安のほか、自宅に装置を置くスペースがない、介助者となる家族が消極的など、在宅血液透析導入に関わるさまざまな条件をクリアしきれない、という難しさも確かに背景にはあります。

 

しかし、在宅血液透析の普及が伸び悩んでいるのはこうした患者側の事情だけでなく、医療機関側にも要因があるのではないか、と私は考えています。

 

実際、全国にある約4500の透析施設のうち、在宅血液透析を実施している施設は2020年時点で約100施設しかありません。

 

1つには、「採算がとりにくい」、もう1つには「患者さんの教育にパワーがかかる」、私は主にこの2点が、普及の足かせになっていると考えます。

 

医療機関も、経営がうまくいかなければ存続に関わります。在宅血液透析のほうが、十分な透析が可能で患者さんの健康上のメリットが大きいことは、個々の医療従事者にはよく理解されていると思います。しかし、施設としては、採算面やパワー面で折り合いがつかず、在宅血液透析の導入にふみきれない、ということだと思います。

 

透析液や血液の流れ、除水量などの調節、管理するコンソール(透析装置)1つにしても、施設透析の場合、1台あれば午前と午後の患者さん、夜間も実施していればもう1人、といったように、1日に複数の患者さんに対して使うことができますが、在宅となると患者さん宅に設置したコンソールはその患者さん専用になりますので、1人あたりの設備投資が大きくなります。

南青山内科クリニック 院長 医師

1992年3月、長崎大学医学部医学科卒業。
東京大学医学部附属病院、小平記念東京日立病院、社会保険中央総合病院で勤務。
2000年3月に東京大学大学院医学部医学系研究科内科学専攻博士課程修了。
高島平中央総合病院腎臓内科部長、森山リハビリテーション病院腎臓内科部長を経て、
2007年4月より駒込共立クリニック院長。
2011年6月に南青山内科クリニックを開業。

著者紹介

連載「生涯現役」をかなえる在宅透析

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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