(※画像はイメージです/PIXTA)

「私もずっと『孤独』でした」と語るのは精神科医の和田秀樹氏。現代病理の多くが孤独や疎外感が「根っこ」になっていると指摘する。多くの人が悩む「何となく寂しい」から逃れる「孤独の作法」とは。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

孤独はじっくりと考える時間を与えてくれる

■「孤独」と「思索」の親和性

 

フランスの小説家、スタンダールは、天才の特徴を「凡人が敷いたレールに自分の思想を乗せないこと」と言っていますが、まさにそのとおりでしょう。

 

孤独の時間は、いろんな事柄を自分の頭でじっくりと考える時間を与えてくれます。「これは本当にそうなのかな?」と、世間の常識を鵜呑みにせずに考える時間を与えてくれます。そういう習慣が彼らの思考の独創性を高め、のちの大発見へと導いてくれた。

 

みなさんは、ニュートンやアインシュタインのように世紀の大発見をしたいわけではないかもしれません。

 

孤独の思考が独創性を高め、のちの大発見へと導いてくれたに違いない。(※写真はイメージです/PIXTA)
孤独の思考が独創性を高め、のちの大発見へと導いてくれたに違いない。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

でも、現在「天才」と呼ばれている彼らも、最初から世間に期待され、大事に扱われていたわけではないのです。

 

「無名」の時代には、将来がどうなるかわからない心細い存在、ただひとりの青年でした。

 

彼らが凡人と違ったのは、孤独に負けて飲み込まれ、自分の頭で考えることを放棄したり、酒やゲームに溺れて時間を無為に過ごしたりしなかったということ。

 

孤独というものは、それに飲み込まれてしまうと依存症などの重大な問題を引き起こしますが、独創性を養い、自分ならではの思索をまとめるためには、非常に大きな効用をもたらしてくれるものなのです。

 

■孤独はオリジナリティを獲得するチャンス

 

「彼らを天才たらしめたのは孤独である」という言い方もできます。なぜなら、孤独でなければ、独創性や斬新な発想など生まれてくるはずがないからです。

 

考えてもみてください。

 

「みんなと同じ」でいられて、世間の常識に疑問を持たずに生きていければ、それに対する疑問や葛藤など生まれてきません。

 

その枠から抜け出した発見をしたということは、彼らが「世間の常識に染まらなかった」ということに他なりません。

 

つまり、「世紀の大発見」をした彼らの人生の背景には、「みんなと同じではいられない」「世間の常識で考えることができない」という状況があった。いかに天才であったとしても、彼らも一個の人間ですから、そこには一抹の苦悩があったでしょう。

 

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孤独と上手につきあう9つの習慣

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