(※写真はイメージです/PIXTA)

社会の高齢化とともに深刻さを増す、家賃滞納問題。ここでは、「千葉で理容店を営む80代夫婦」の家賃滞納トラブルについて、OAG司法書士法人代表・太田垣章子氏が解説します。 ※本記事は、書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。

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    家主は大激怒「こんな腹が立つ書面ってありますか!」

    年齢的なこともあって、できるだけサポートして任意退去をと思いましたが、話し合いができない以上、訴訟手続きで進めるしかありませんでした。訴訟を提起したのと前後して、弁護士から破産の受任通知が家主に届きました。

     

    「こんな腹が立つ書面ってありますか! まるでこちらが悪質な督促をしているみたいじゃないですか。気を遣って督促もできなかったほどなのに。こんな後ろ足で砂かけるような奴、もう許せません」

     

    家主が憤慨するのも、分からなくはありません。受任通知は定型の貸金業宛ての様式で、受け取った方は威圧感を覚えてしまうのです。

     

    「家賃払わんと、こんな書面まで送ってきやがって。被害者はこっちや」

     

    家主の怒りは、収まりそうにありません。代理人の先生が建物明渡等請求事件のことを把握された上での話かどうか分からなかったので、私の方から電話をしてみました。

     

    その方は、訴訟の方はご存じなかったようです。300万円以上の滞納で、退去してもらえずに迷惑している旨をお伝えすると、急に恐縮された対応となりました。悪い先生ではなさそうです。

     

    「破産もされるというなら、こちらは1日も早く荷物を完全撤去して、任意退去していただきたいです」

     

    そうお伝えすると、自身が責任を持って期日までに退去させます、と約束してくれました。訴訟での明け渡しが早いのか、それとも任意退去が早いのか、どちらにしても明け渡しは時間の問題となりました。

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    老後に住める家がない!

    老後に住める家がない!

    太田垣 章子

    ポプラ社

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