(写真はイメージです/PIXTA)

相続で揉めないためには、事前の対策が必要です。岡野雄志税理士事務所の岡野雄志税理士が子どもがいない夫婦である「おふたりさま」の相続対策について、遺言書の作成後に認知症が発症した事例をもとに、ポイントを解説します。

せっかく遺言書を作成したのに…認知症になると無効?

Sさんご夫妻は、ご高齢になっても仲のいいご夫婦です。ご主人は、定年後10年ほど子会社の役員を務めたのちに退職。首都圏の自宅マンションを売り、長年の夢だったリゾート地へ転居しました。今は家庭菜園やガーデニング三昧の老後をご夫婦で満喫されています。

 

Sさんご夫妻は再婚同士。奥様には元夫との間にお子さんはいませんが、ご主人には前妻との間に息子がいます。現在は、どちらの家庭ともとくに揉め事はありませんが、将来の相続発生に備えて、ご主人は退職を機に「自筆証書遺言」を作成しました。

 

Sさんのように中高年で再婚、子がいない、子が自立し別居……と、理由は様々ですが、日本の高齢者世帯における「おふたりさま家庭」は、年々増加しています。内閣府『令和3年版高齢社会白書』によると、令和元(2019)年の65歳以上がいる夫婦のみ世帯は全体の32.3%。単独世帯の28.8%を抜きトップです。

 

[図表1] 出典:政府統計・厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)『令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果から グラフでみる世帯の状況』
[図表1]世帯人員別にみた世帯数の構成割合の年次推移
出典:政府統計・厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)『令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果から グラフでみる世帯の状況』

 

配偶者が他界し、同居する家族がおらず、残されたのは高齢の夫か妻のみ。こんな場合、遺族は相続財産の把握や相続税申告の手続きに苦労します。

 

たとえ「争族」の可能性がなくとも、「おひとりさま」「おふたりさま」こそ、Sさんのように遺言書を残しておくべきでしょう。そういう意味では、Sさんのご主人は「おふたりさま」終活の優等生です。

 

しかし、人生何が起こるかわかりません。数年後、ご主人には次第に認知症の兆候があらわれてきたのです。

 

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