支払う税金の一部を利用して資産形成するという考え方
医師という職業は、30歳を過ぎたあたりから年収は他の職種と比べ、格段に高いといわれています。1200万円以上は当たり前のように稼ぎ出すわけですが、そのまま申告すれば高額な税金を納めるだけ。
たとえばとある年収約1600万円の医師のケースです。子どものいないご夫婦で奥さんは専業主婦だとします。まず、所得から給与所得控除を引くと1345万円となります。ここから配偶者控除、生命保険・社会保険が控除された場合、所得税が約217万円、住民税が約113万円となっていました。税額は合計で約330万円、約1600万円の年収の1/5もの金額を支払っていたのです。
これから資産を築いていこうとしたときに、納税額の現実とを知ってしまうと愕然としてしまいます。これでは資産形成などできないのではないか、と考えても仕方がないでしょう。しかし、このまま何もしなければ、節税できるどころの話ではなく、毎年多額の税金を納めるだけの人生で終わってしまうのです。
いきなり資産形成といわれても、ピンとこない方もいることでしょう。もっとも身近な手段としては、投資がこの手段といえます。株やFXなど興味を持たれたことのあるものもたくさんあると思いますが、多忙ゆえに諦めてはいないでしょうか。そこで、医師のように朝から晩まで仕事漬けになってしまう職業向きともいえるのが不動産投資です。そして、この不動産投資でできる節税とは、驚くほど大きいものなのです。
この投資をするにあたって、最大の壁となるのは借入に対する考え方。自己資金ですべてを解決したい、というのは万人に共通することではありますが、いちばん現実的ではない理想論です。資産家の家に生まれて莫大な財産があるのならともかく、ほとんどの人はそうではありません。それゆえ、借り入れの返済という部分を、投資で得た利益で賄う、という考え方をすることで、この立ちはだかる壁を越えてみたらどうでしょうか。
不動産投資で得られる節税と資産形成の根拠とは
不動産物件というのは決して安くはありません。それゆえ、最初はミニマムな物件からはじめて、体験してみることも大切です。たとえばワンルームマンションをひと部屋所有するのであれば、中古なら物件価格が2000万円ほどで購入できるでしょう。ただし、よほど貯め込んでいなければ、借り入れに頼るしかありません。先ほどの医師の年収の場合でしたら、自己資金200万円程度であれば、無理なく用意することができるでしょうから、このケースであれば借入額は1800万円となります。物件を購入するにあたって、必要な支出の一部、金利、減価償却費、雑費などが経費として認められます。そのため資産を持ちながらも、節税ができることになります。
この物件では建物価格は1400万円。その70%にあたる980万円が柱や壁などの躯体価格、30%の340万2000円が電気や給排水設備などの付帯設備価格となります。減価償却費の計算式は複雑なので省略しますが、合計約91万円が経費となります。また、物件購入資金として1800万円借入れた際の金利は45万円。そこから土地金利にあたる約13万円を引いた残りの32万円が経費となります。さらに、購入時の登記代や管理委託手数料、管理費・修繕費、火災保険料だけでなく、物件を見学する際の交通費や宿泊費といった雑費も経費と認められるため、減価償却費や金利経費とあわせると総額は約241万円になりました。
ただし、この物件は1ヵ月7万8000円の賃貸物件として貸しているため、年間の家賃収入が93万6000円。経費の合計から家賃収入を引いた残りの約147万円分が給与所得から引けることになるのです。
借り入れをせず物件を持たないときの税金からこれらを控除すると、所得税は約168万円、住民税は98万円となり、納める税金の総額は約266万円になります。これまで税金として納めていた金額から、実に約64万円もの節税ができたことになるのです。この税金の還付金を繰上げ返済へまわすことで返済期間は短くなり、不労所得を得られる日が早くなってきます。不動産という資産を手にすると同時に節税が実現できる不動産投資とは、身近なところにある資産形成の手法として、検討する必要があるといっても過言ではないのです。
また、不動産購入は節税効果だけでなく、将来的に子どもが巣立った後の住まいや残す資産としても重宝できますし、マンションの一室を利用して、将来的に医院やクリニックなどの開業も可能です。家族構成やライフスタイルによって、それぞれに違いはあるものですが、しっかりとした出口戦略をしながら最大限に節税し、同時に資産形成を実現することが、不動産投資の醍醐味だといえそうですね。