(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率+1.9%に第1次速報値+1.3%から上方修正

 

設備投資は前期比+2.3%に上方修正、政府最終消費は同+1.3%に上方修正

 

名目GDP成長率は前期比年率▲0.5%に、第1次速報値+0.2%から下方修正

 

 

 

●21年4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.5%、前期比年率+1.9%となり、第1次速報値の前期比前期比+0.3%、前期比年率+1.3%から上方修正となった。法人企業統計を受けて設備投資が上方修正された。また、公共投資はやや下方修正されたものの、政府最終消費支出が大きく上方修正され、公的需要全体で上方修正となった。

 

●実質GDP季節調整値はコロナ禍前の19年7~9月期の557.8兆円をピークに下落し、20年4~6月期に500.7兆円まで低下した。20年10~12月期542.5兆円まで一旦戻した後、21年1~3月期536.8兆円、4~6月期539.3兆円となった。21年4~6月期時点は20年4~6月期から+38.6兆円高い水準で、19年7~9月期から20年4~6月期への下落分▲57.1兆円の68%を戻した水準になっている。

 

●4~6月期名目GDP成長率・第2次速報値は前期比▲0.1%、前期比年率▲0.5%となり、第1次速報値の前期比+0.1%、前期比年率+0.2%から下方修正となった。名目GDPの季節調整値は544.4兆円で直近のボトムだった20年4~6月期の510.8兆円と比較すると33.6兆円高い水準だが、コロナ禍前のピークだった19年7~9月期の562.9兆円と比べると18.5兆円低い水準である。

 

●4~6月期の個人消費・前期比は、第1次速報値の+0.8%から前期比+0.9%へと0.1ポイント上方修正となった。

 

●4~6月期の実質住宅投資は、前期比+2.1%で、第1次速報値の前期比+2.1%から変わらなかった。

 

●4~6月期の実質設備投資の前期比は第1次速報値の+1.7%から前期比+2.3%へと0.6ポイント上方修正となった。

 

●4~6月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.3%と第1次速報値の▲0.2%から0.1ポイント下方修正となった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.1%で第1次速報値▲0.1%と同じになった。流通品在庫は前期比寄与度▲0.0%で第1次速報値の0.0%からやや下方修正となった。法人企業統計を使って推計された原材料在庫前期比寄与度は仮置き値だった第1次速報値の0.0%と同じ0.0%だった。同じく第1次速報値は仮置き値だった仕掛品在庫前期比寄与度は▲0.2%となり第1次速報値の▲0.1%から下方修正された。

 

●4~6月期実質政府最終消費支出は前期比+1.3%で第1次速報値の+0.5%から上方修正になった。一方、4~6月期実質公共投資は第1次速報値の▲1.5%から▲1.7%に下方修正となった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%で第1次速報値の▲0.0%と変わらなかった。公的需要全体の前期比寄与度+0.2%で第1次速報値0.0%から上方修正になった。

 

●4~6月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値の▲0.3%と同じ▲0.3%になった。実質輸出の前期比+2.8%で第1次速報値の+2.9%から0.1ポイント下方修正となったが、控除項目の実質輸入の前期比も+5.0%と第1次速報値の+5.1%から0.1ポイント下方修正となった。

 

●4~6月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.6%で第1次速報値の+0.6%と同じであった。国内需要デフレーターの前年同期比は▲0.3%で第1次速報値の▲0.3%と同じであった。

 

●4~6月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であったが、第2次速報値では同▲0.4%へと下方修正になった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は原材料在庫、次のマイナス寄与は流通在庫、そして仕掛品在庫がプラス寄与で、一番大きなプラス寄与は製品在庫だった。法人企業統計のデータが加わった第2次速報値でも、4項目のこの順番は変わらなかったようだ。

 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲895億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+6,604億円である。

 

●「令和3年度内閣府年央試算」の21年度実質GDP成長率見通し・前年度比+3.7%を達成するには、21年度残り3四半期で各々前期比年率+3.6%(前期比+0.87%)が必要である。20年度から21年度へのゲタは+1.8%である。なお、21年度残り3四半期が前期比+0.5%だと21年度実質GDP成長率・前年度比は+3.1%になる。21年度各四半期が前期比+1.0%だと21年度実質GDP成長率・前年度比は+3.9%になる。

 

 

●11月15日に公表される7~9月期の実質GDP第1次速報値を7月のデータから考察してみる。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7月分対4~6月平均比は+0.6%の増加になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲0.1%の減少だ。商業販売額指数・小売業の7月分対4~6月平均比は+3.1%の増加になった。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7月分対4~6月平均比は▲2.6%減少である。乗用車販売台数の7月分対4~6月平均比は▲3.6%減少である。4~6月期と逆に7~9月期のスタートは供給サイドのデータの方が、需要サイドのデータよりしっかりしている感じがする。

 

●家計調査と同時に発表される総務省の総消費動向指数は、個人消費の97%に当たる家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって求めたものだ。実質総消費動向指数7月分は前月比▲0.4%の減少になり、7月分対4~6月平均比は▲0.3%減少になった。また、需要サイドのデータを使用しないで、財とサービスに関する各種の販売・供給統計から算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)をみると、7月分対4~6月平均比は+1.2%の増加になっている。総合的に考えると、7~9月期の個人消費は、21都道府県に緊急事態宣言が出た影響などで前期比マイナスになっても、大幅な減少率になる可能性は小さいとみられる。

 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数(除、輸送機械)の7月分対4~6月平均比は+1.1%の増加になった。一方、建設財出荷指数の7月分対4~6月平均比は▲1.9%減少になった。また、資本財総供給指数(除、輸送機械)の7月分対4~6月平均比は▲3.0%減少で、建設財総供給指数の7月分対4~6月平均比は▲2.0%減少である。総合的に考えると、供給サイドから推計される7~9月期第1次速報値の実質設備投資・前期比は、7月分だけからみると弱含む可能性もあると考えられる。

 

●実質輸出入の動向をみると輸出の7月分対4~6月平均比は+2.1%の増加の増加になった。控除項目の輸入は同▲2.4%の増加になっている。7月のモノ分だけでみると、7~9月期の外需の前期比寄与度はかなりのプラス寄与度の可能性が大きいが、サービスの動向や、8月分・9月分のモノの動向を注視していく必要があろう。

 

●7~9月期実質GDP第1次速報値では、緊急事態宣言発令の影響で個人消費はもたついた内容にはなろうが、外需は前期比プラス寄与に転じる可能性が現状では大きいとみられ、2四半期連続のプラス成長が期待される状況だ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年4~6月期実質GDP(第2次速報値)について』を参照)。

 

(2021年9月8日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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