(※写真はイメージです/PIXTA)

マンション総会とは、マンションの区分所有者が集い、収支予算や今後のマンション運営方針、大規模修繕の時期や予算などの重要な事項の意思決定を下す会です。どのようにマンション総会は開催されるのでしょうか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「広報紙」や「理事会ニュース」を出す管理組合

■総会の出席者が少なくて総会が成立しない

 

通常総会は、毎年1回新会計年度開始以後、規約に規定した日程以内に招集しなければなりません。ですから、予め総会の開催日を掲示版などで3か月前くらいから告知しているマンションもあります。又、管理組合の年間活動表を作成して管理組合活動や行事等への参加を呼び掛けているマンションもあります。

 

総会の出席率を上げるためにも、日頃の組合運営をスムースに行うためにも、理事会から積極的に情報発信を行い、「マンションの居住者に組合活動を知ってもらう」「どのような活動をしているか興味を持ってもらう」といったことが大切になります。最近では、広報誌や理事会ニュースの作成方法についても相談を受けますが、手に取って親しみやすい方法が「広報紙」や「理事会ニュース」です。

 

お年寄りから若者まで誰が見ても分かりやすいように「難しい言葉は使わない、難しい漢字や英語は使わない、読みやすい感じにする」などを意識します。マンション管理組合の活動や点検の日などに興味を持ってもらえるように楽しいイラストや写真、を入れる等の見せ方の工夫も大切です。このような方法で作成すると普段の生活の中で目につくので、親しみやすく伝わりやすいと思います。

 

マンション管理に関心が低い組合員の多い管理組合では、総会の出席表がなかなか提出されず理事長をやきもきさせる場面もあります。

 

総会にはなるべく多くの組合員の参加が望まれますので、総会開催の3日前くらいには、出席通知、委任状、議決権行使書などを提出していない組合員宅を役員が一軒ずつ訪問や電話をするなど総会の出席の重要性を伝えて出席を促すことも必要でしょう。

 

■総会を円滑に進める秘訣

 

総会に出席できる資格は、「組合員のほか理事会が必要と認めた者は理事会に出席することができる。」(規約第45条)という規定があるので、厳密にいうと組合員の家族でも理事会が必要と認めないと出席できません。

 

しかしながら、最近総会にご夫婦で一緒に出席することを容認している管理組合の例も少なくありません。そのような場合に賛成等のカウントミスを防止するためには、専有部分の所有者または代表者に青やピンクの色紙を配布して、挙手の際にその色紙を掲げてもらいその数を数えることで正確な数を確認できるように工夫している管理組合もあります。

 

総会を円滑に進めていくためには段取りが大切です。「段取り八分、仕事二分」と言われるほど、仕事の良し悪しは「段取り」によって決まると言われています。

 

国土交通省から公表されている「マンション管理標準指針」(以下管理標準指針という)では、「総会で重要な案件については、事前説明会やアンケートにより意見聴取している。」ことが標準的対応としています。

 

共用部分の形状又は著しい変更、管理規約の変更、大規模修繕工事の実施等の重要な案件の場合には、特に十分な議論が尽くされる必要性が高いと言えます。総会の議事を限られた時間で効率よく行うためにも、アンケートの実施や事前説明会により、区分所有者が議事を十分理解して総会に臨めることとなり、無用な質疑が避けられるとともに、適切な判断が期待できることからこれを「標準的な対応」としました。

 

重要な案件については、組合員の合意形成を得られるようにアンケートはこまめに実施して、説明会も何回も開催することで組合員の理解も深まりスムースな総会運営が容易になります。総会前に情報提供、意見聴取することが重要です。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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