「すぐ入所できる施設ならどこでもいい」では損なワケ
◆介護保険施設で適用される制度
介護保険負担限度額認定は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設で適用される制度であり、先ほどの事例にもあった老人ホームでは適用されません。もし特別養護老人ホーム(介護保険施設)などに申し込む要件を満たしていれば、介護保険負担限度額認定を利用して費用を安く抑える選択肢もあります。ですから、単に「近所ですぐ入所できる施設ならどこでもいい」という理由で選ぶのはもったいないのです。
◆費用軽減の対象は「居住費と食費」
一例として、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ではなく、「介護保険負担限度額認定」を利用して特別養護老人ホームに入所した場合、3年間でどのくらい費用が変わるのでしょうか。費用軽減の対象となるのは「居住費・食費」です。施設の正規の金額と費用軽減後の金額を比べてみましょう。
<介護保険負担限度額認定が適用された場合(例)>
●居住費 1日2,000円 → 320円(1,680円のプラス)
●食費 1日1,400円 → 300円(1,100円のプラス)
ひと月に換算すると8万3,400円も得することになり、36ヵ月(3年)では300万2,400円もの費用が軽減されます。介護施設は、利用する制度も含めてトータルで選びたいものです。
◆制度は「自分で調べて自分で申請」、完全に自己責任
一番の相談相手ともいえる施設相談員やケアマネジャーは、介護サービスのプランを立てることが業務です。制度利用は、基本的に「自分で調べて自分で申請」が原則。完全に自己責任です。経済的に苦しいときは、お住まいの市区町村の介護保険課などに相談しましょう。また、できるかぎり事前に親の経済的状況を把握しておいてください。
また、介護保険負担限度額認定にかぎらず、市区町村ではさまざまな介護費用の補助を行っています。親御さんがお住まいの市区町村のウェブサイトなどで、介護支援サービスや介護手当のもらいもれがないよう必ず確認しましょう。
介護費用で損をしないためには、子が親に代わって情報を集めることが大切です。
河北 美紀
株式会社アテンド 代表取締役
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