「後悔している」親の介護で“離職した50代”が味わう三重苦【介護のプロが解説】

「後悔している」親の介護で“離職した50代”が味わう三重苦【介護のプロが解説】
※画像はイメージです/PIXTA

親の介護を理由に離職する人には、経済的に困窮したり、「介護疲れ」から高齢者への虐待が発生したりするリスクが存在します。介護離職した人が後悔する“3つのこと”について、介護事業を運営する、株式会社アテンド・代表取締役の河北美紀氏が解説します。※本記事は、書籍『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)より抜粋・再編集したものです。

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介護離職後に後悔する「3つのこと」

さまざまな調査結果によると、介護離職をした人の8、9割が「後悔している」と回答しています。突然親の介護が必要になったとき、真面目な人であるほどひとりで抱え込んでしまいがちです。そして、その大変さから「介護に専念しよう」と思ってしまい、離職を選択することが多いようです。

 

仕事をしながらの介護はとても大変ですが、ずっと続くわけではありません。何より将来の自分のため、一度冷静になることも大切です。

 

介護離職をすすめない理由の第一は、大幅な収入減少があることです。子が親の介護をする必要が出てくる時期は、50代以降というケースが多いです。50代というのは賃金がピークの時期であると同時に、子育ても一段落し、老後に備えてお金を作っていく大切な時期です。

 

親が生きている間は、自分の貯蓄と親の年金で生活が成り立つケースもありますが、親が亡くなれば年金もなくなります。前職と同じ条件で復職できる可能性は極めて低いため、「一度介護離職をすれば二度と同じ給料はもらえない」と考えて間違いないでしょう。

 

また、介護離職をしたら体も楽になると思ったのに、自宅にいるとかえって見守りの時間が増え、休めるどころかさまざまなことに目が行ってしまい、精神的負担で体調を崩す方もいます。

 

「少しでも楽になりたい」との思いから仕事をやめたのにもかかわらず、家に閉じ込もった環境で介護を続けることで、残念ながらかえって負担が大きくなる人が大半です。

 

[図表]は、「介護離職者への意識調査」の結果です。

 

出典:厚生労働省「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)
[図表]介護を機に離職した後の変化 出典:厚生労働省「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)

 

●「精神面での負担が増した」と答えた人 64.9%

 

●「肉体面での負担が増した」と答えた人 56.6%

 

●「経済面での負担が増した」と答えた人 74.9%

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河北 美紀

実務教育出版

日本における要介護者数は06年で425万人→12年で545万人と、6年で100万人以上増えています。 しかし、これまでの介護本の著者はジャーナリストが多く、現役のプロ介護職や介護事業所経営者が書いた本はほとんどありませんで…

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