写真:PIXTA

先行き不透明感漂うフィリピン経済。そのような状況下で、通信株が大きく値上がりしました。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏が、その理由を解説します。

通信株の大幅上昇…その背景にあるのは?

政府は2022年の国家予算5兆ペソを議会に提出しました。これは昨年の予算よりも約11%高く、重要政策である交通インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」*1の加速と教育に重点的に予算が割り当てられています。

 

*1ドゥテルテ政権の下、2016年から2022年までの6年間で約8兆ペソ(約17兆円)を投じて、首都圏交通網や空港等の整備を行うとした計画。

 

新型コロナデルタ株がフィリピンでも蔓延*2していて、一旦回復に向かったものの、フィリピンでは消費回復のスピードが減速しています*3。ワクチン摂取者は累計で3100万人、一日のワクチン摂取者人数は40〜50万人で進んでいます。フィリピンのGDPがコロナ前の水準に戻るのは、2023年にずれ込みそうです。

 

*2 8月15日、フィリピン保健省は、新型コロナウイルスデルタ株に182人が新たに感染したと発表。インド型の累計感染者は807人に増え、死者は17人となっている。

 

*3 7月30日、ドゥテルテ大統領は、新型コロナウイルスデルタ株の拡大抑制と医療システム保護のため、首都圏のロックダウンを承認。8月6日~20日に、首都圏で最強レベルの封鎖を実施。封鎖による経済損失は、40億ドルと言われている。

 

このような状況下、この1週間での通信株の大幅上昇が注目されています。特に株価が出遅れていた大手2社の「グローブテレコム(GLO)」「PLDH(TEL)」はそれぞれ、1週間で21.1%、18.5%大幅上昇しました。すでに大きく株価が上昇していた昨年IPOした「コンバージ(CNVRG)」と新規市場参入の「ディート(DITO)」の新興2社も、小幅ではりますが、それぞれこの1週間で、4.4%、 7.6%上昇しました。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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