写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏によるフィリピン株式レポート。今週は、過去、数十年で大きく値上がりした銘柄に注目していきます。

フィリピン株式市場が世界から注目される理由

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フィリピンのGDPは、3768億米ドル(2019年)。過去10年ほどで3倍になりました。一方で、株式市場の時価総額は30兆円程度で日本20分の1以下です。30兆円の時価総額といえば、日本の1970年頃になります。

 

日本には1954年から1973年まで、20年近くに渡って続いた高度経済成長期がありました。1955年に約8.8兆円だった名目GDPは、1973年には119.5兆円にも膨れ上がりました。かつて日本で高度経済成長が実現したのも、基本的には人口ボーナス(総人口に占める労働力人口の割合)があったためです。

 

フィリピン株式市場が世界から注目されているのは、この「人口ボーナス」による成長促進効果が長期間続くと予測されているからです。フィリピン国民の現在の平均年齢は23歳と若く(日本は46歳)、人口構成は綺麗なピラミッド型をしています。そして、出生率は約3人とアジア地域でも高水準。そのため人口構成は長期間変わらず人口ボーナス期が長期化すると予測されています。ジェトロ(日本貿易振興機構)が2015年に出したレポートでは、フィリピンの人口ボーナスは2062年まで続き、東南アジア諸国のなかでも最長とされています。

 

もしタイムマシンがあったなら……1954年の日本に戻り、一部上場企業の株を何社かまとめて買い、あとはただそれをずっと持っているだけ。それだけで、今ごろは相当な大資産家になっているはずです。そんな「タイムマシン投資」がフィリピンでは体験できるのです。

過去数十年で株価10倍~200倍に増えた、驚愕の銘柄

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では過去30~40年で大きく株価を上げてきた銘柄を見ていきましょう。

 

過去30年間で株価を270倍にあげたのが、「Philippine Racing Club(PRC)」です。名前の通り競馬事業を行っています。日本のJRAも高収益企業として有名です。

 

上場企業の中では唯一の競馬会社です。フィリピン人も賭博好きで、闘鶏や競馬は大変人気があります。少しかわった銘柄ではありますが、大半の株は大株主がしっかりと保有しているので、市場で買える株数は少なく、流動性は非常に低いです。

 

「First Phil(FPH)」は過去40年間で株価が28倍になりました。この会社は大手発電会社「ファースト・ジェン」の親会社です。現在は石炭火力発電から水力発電と地熱発電といったクリーンエネルギーにシフトしている最中ですので、今後も大いに成長が期待できる企業です。

 

また、最近「First Phil(FPH)」には、アメリカの大手バイアウトファンド「KKR」が出資したということで話題になりました。日本にも大きな投資をしている米国の大手ファンドがフィリピンのエネルギーセクターに入ってきたということで、このセクターの注目度がさらに上がっています。

 

ただし「First Phil(FPH)」は流動性が低いことには、注意が必要です。時価総額で見ると「First Phil(FPH)」は380億ペソです。

 

フィリピン人にはおなじみの「サンミゲルビール(FB)」は日本の「キリン」と資本提携している会社ですが、フィリピンビール市場では圧倒的な市場シェアも持つガリバー企業です。フィリピン人で知らない人はいないというようなブランドを確立している大企業ですが、こちらの株価も過去30年で11倍になりました。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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