(※写真はイメージです/PIXTA)

子どものいない夫婦でも、「自分が先に亡くなったら財産は自動的に配偶者にすべて行く」わけではありません。行政書士の山田和美氏が、夫婦が互いのために遺言書を書く際の注意点について、甲野さんの遺言書を例に解説します。※本連載は、書籍『「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

入れておくべき「具体的な記載」

具体的には、遺言書内に次ページのような文言を入れておきます。

 

* * * * *

【夫の遺言書】

 

第○条 遺言者の死亡以前に甲野尚子が死亡したときは、甲野尚子に相続させるとした財産は、遺言者の甥である、甲野光男(住所愛知県春日井市XXX二丁目二番地生年月日昭和30年1月1日)に相続させる。

 

【妻の遺言書】

 

第○条 遺言者の死亡以前に甲野和夫が死亡した時は、甲野和夫に相続させるとした財産は、甲野和夫の甥である、甲野光男(住所愛知県春日井市XXX二丁目二番地生年月日昭和30年1月1日)に遺贈する。

* * * * *

 

あらかじめ遺言書にこのような記載を入れておくことで、夫婦どちらかが他界した後で遺言書を書き直さなくとも、お世話になった人に財産をのこすことができます。

 

夫婦でお互いに財産を渡すという遺言書を作成する際は、最終的な財産の行先まできちんと検討し、作成するようにしてください。

 

なお、遺言書は特に財産を渡す相手(この例では、甲野光男さん)の同意がなくても作成可能です。しかし、相続が起きてから受け取りを拒否されてしまえば財産が宙に浮いてしまいます。

 

また、現実的には、その財産を渡す相手に、夫婦いずれもが他界した場合の葬儀の手配や、身辺の片付けなどを依頼することも多いでしょう。

 

そのため、財産を託したい相手に事前に事情を話し、同意を得ておくことをお勧めします。

 

 

山田 和美

なごみ行政書士事務所・なごみ相続サポートセンター(愛知県東海市)所長

 

 

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残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

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山田 和美

日本実業出版社

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