(※写真はイメージです/PIXTA)

厚労省によると、企業におけるメンタルヘルス対策では、4つのケアが計画的かつ継続的に行われることが重要とされています。4つとは①従業員本人による「セルフケア」、②管理監督者の「ラインによるケア」、③産業医などの「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、④専門知識を有する各種外部機関を利用した「事業場外資源によるケア」のこと。なぜこれだけ手厚いアプローチが必要なのか、実際のメンタル不調の事例から見ていきましょう。セイルズ産業医事務所の富田崇由医師が解説します。

医者から休養を勧められたが…休むに休めない事情

嘱託産業医の月1回の会社訪問の際に、Bさんは面談を希望しました。その際、「自分が会社には不可欠だと上司に思ってもらわないと、いつ飛ばされるか分からない」、「パソコン作業になじめず、ストレスが多い」、「外に出ているときは気分良く仕事をしているが、会社に戻ると雑念が入って集中できず、3倍くらい時間がかかってしまう」、「睡眠不足になっている」などと涙ぐんで話していたそうです。

 

「うつ病」の可能性があると判断され、Bさんは専門医の受診を勧められました。その結果、うつ病と診断され、抗うつ剤を処方されました。

 

産業医は毎月の訪問時に面談しました。Bさんは「医者からは仕事を休むように言われたが、休んだら帰ってきたときにイスがない」、「子どももまだ独立していない」など、リストラへの不安から休養できない事情を話していたそうです。

 

「雑念が入って何から手を付けたらいいか分からない」との話もあり、「うつ病」の症状の一つである判断力の低下が疑われました。産業医は「よほど大事な仕事があるならそれを優先し、そうでなければ端から順番に片づけていったらどうか」と提案しました。

 

その後も会社を休むほどの深刻な状況にはなっていないのが幸いですが、定期的なフォローが欠かせないケースです。

 

富田 崇由

セイルズ産業医事務所


※本記事で紹介されている事例は、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

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※本連載は、富田崇由氏の著書『なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

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