(※写真はイメージです/PIXTA)

高崎経済大学経済学部教授、さくらジャパン税理士法人の税理士である田中久夫氏の著書『ロータリークラブに入ろう!』より一部を抜粋・再編集し、知られざる「ロータリークラブ」の魅力について解説する。

突然の電話「親睦委員会を開くから出席してくれ」

ある日、電話が掛かってきた。僕の会計事務所の顧問先でもあるTTさん(酒販)からだ。彼はこう言った。

 

「田中君、高崎ロータリークラブへの入会おめでとう。私も同じクラブの会員だ。今年はクラブでは親睦委員長をしている。来週、親睦委員会を開くから出席してくれ。内容は、今日中にFAXするよ」

 

さっぱり意味が分からない。ロータリアンの多くは常時、説明不足だ。用件があることだけを伝えて「詳しくはあとで……」という論法が多い。その後、事務局から送られてきたFAXを見ると、「親睦委員会」という委員会の開催通知だった。書かれていたのは、

 

(1)会議の日程(絶対、夜だ)

(2)内容(「納涼例会について」と書いてある)

(3)会費3000円(バカに安いな。後で聞いたところ、同額をクラブが負担してくれるらしい。総額6000円で会合を開くというのがうちのクラブの通例らしい)

(4)会議への出欠席の回答

 

というものだった。当然、出席に〇を付けて返送した。だって、返事は「ハイ!」か、「イエス!」か、「喜んで!」と教えられたから。

クラブの教訓「若いヤツは裏方に徹して汗をかけ」

親睦委員会開催日の夜6時30分、入会面接に行ったことのある料亭UNに行った。ロータリーの夜の会合は必ず6時30分からだ。この料亭の主人HSさんも同じ高崎クラブのメンバーだった。やっぱり、違う飲み屋で会合をすると角が立つからかな? 

 

相互扶助関係を大切にすることからロータリーは始まった、と誰かが蘊蓄を語っていたことを思い出した。

 

その会合で分かったことは、まず、クラブにはいろいろな委員会があって、新会員は入会後三年間は「親睦委員会」に配属されるということだ。

 

その趣旨は、親睦委員会はいろいろな年間行事(会員相互の親睦を図る行事)を企画してそれを成功させることにある。その計画・実行過程においていろいろな会員の顔と名前を覚えるのには好都合であるからと説明された。まあ、言ってみれば新会員、つまり若いヤツはクラブ運営の裏方に徹して汗をかけ、という強要に他ならない。

 

親睦を図る目的の各種行事には、夏の納涼例会、秋の月見例会、年末のクリスマス家族会、正月の新年会、春の花見例会、6月の年度末懇親会、という季節ごとに飲み会が予定されている。やっぱり大人の会だから酒席は何より大事ということだ。会議では、当然酒を飲みながら、納涼例会を盛り上げるためにどういう企画をしたらいいかを話し合った。

 

そして決まったことは、

 

(1)会員の皆さんに、浴衣を着て参加してもらう。

(2)コンパニオンにも浴衣を着てもらう。

(3)出し物(アトラクション)には、ハワイアン・ダンスを踊る若い女性のチームを呼んでダンスを披露してもらう。……よくこういう人たちを呼べる会員がいるものだなと、ロータリアンの懐の深さと人脈の豊富さに感心した。

(4)親睦委員会のメンバーも事前に、そのハワイアン・チームから指導を受けてダンサーたちと一緒に踊る。……最後にとんでもない提案が通ってしまった。

 

事前にということは、何日も前から練習するということか? 仕事もあるしそれは勘弁してもらいたいな、という顔をしていたら、TT委員長はこう言い切った。

 

「納涼例会の当日、30分前に集まって練習すればいい」

 

要するに、ピチッとした練習成果を披露するよりもヘタクソな踊りを見せた方が会員には受けるだろう、という面白さを選択したのだ。カラオケだって、上手い人が情感タップリに歌うよりもヘタクソが油汗かきながら歌った方が面白いもんね。さすがは、ロータリーの熟達者、いや宴会の達人TT委員長らしい大人の飲み会の盛り上げ方を教えてくれた。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ロータリークラブに入ろう!』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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