住宅ローンの支払いが厳しい…延滞したらどうなるか?
延滞とは、住宅ローンの支払いが遅れることをいいます。延滞すると、①優遇金利が適用されなくなる、②遅延損害金を請求される、③ブラックリストに載せられる、といったペナルティが課せられます。
①優遇金利が適用されなくなる
住宅ローンの金利には「店頭金利」と「適用金利」という2種類があります。店頭金利とは、各銀行が独自に決めている金利のことで、いわば定価のようなものです。適用金利とは、店頭金利から割引をしたあとの金利のことで、この割引を優遇金利といいます。
例えばA銀行の店頭金利が2.475%、優遇金利が2.005%の場合、適用金利は2.475%-2.005%=0.470%となります。
仮に3000万円を返済期間25年で借り入れた場合で比較すると、店頭金利だと毎月の返済額は11万9000円、総返済額は4254万円になります。
一方、適用金利であれば毎月の返済額は9万円、総返済額は3218万円となり、適用される金利が違うだけで、毎月の返済額で2万9000円、総返済額で1036万円も変わってくるのです。
住宅ローンのほとんどは優遇金利の適用を受けているので、店頭金利から優遇金利を差し引いた金利が適用されています。しかし、延滞をすれば、この優遇金利の適用は外されてしまいますので、金利がはね上がり、毎月の返済額や総返済額が増えてしまうことになります。ただでさえ返済が厳しいのに、返済額が増えれば、住宅ローンの返済を続けていくことは不可能に近くなってしまいます。
②遅延損害金を請求される
遅延損害金とは返済が遅れたことに対するペナルティ、罰金のようなもので、返済日の翌日から支払完了までの日数分、支払いが遅れた元金について所定の利率(遅延損害金年率)で計算された遅延損害金が発生します。
多くの住宅ローンの遅延損害金の利率は14.0~14.6%程度で定められていますので、ここでは14.6%でシミュレーションしてみます。
●遅延損害金の計算式
遅延損害金=遅延した元金×(遅延損害金年率÷365日)×遅れた日数
例えば、9万円の返済が20日遅れた場合の遅延損害金は次のようになります。
9万円×(14.6%÷365日)×20日=720円
20日で720円なので1日あたり36円の遅延損害金が加算されていくことになります。「なんだ、36円か」と軽く考えていると、知らない間に何千円、何万円にも膨れ上がっていることもありますので、注意が必要です。