「25人に1人」住宅ローン返済に問題を抱えているが…
いまだ収束の兆しが見えないコロナ禍において、失業や収入減少により住宅ローンの支払いに行き詰まる、住宅ローン破綻が深刻化しています。昨年だけでも新型コロナ関連による解雇や雇い止めの人数が(見込み者を含めて)8万人を超え、雇用情勢は悪化の一途をたどっています。
解雇に至らなくても、勤務先の休業で手取り額が減少したり、ボーナスが大幅にカットされたりするなど、家計が圧迫され、住宅ローンの返済に行き詰まる人も少なくありません。
そもそも、住宅ローンの返済は20〜35年の長期に及ぶことから、当初から無理な借入をしているケースだけでなく、返済途中で病気やリストラ、離婚など、購入当初に予想もしていなかった事態に見舞われると、たちどころに返済が行き詰まってしまいます。
住宅ローン「フラット35」を扱う住宅金融支援機構が公表しているデータでも、なんらかの理由によって返済されない、延滞しているといった状況にあるリスク管理債権は、平成27年度5.12%、平成28年度4.52%、平成29年度3.94%、平成30年度3.49%、令和元年度3.20%と、過去5年の平均値が約4%と高い水準を示し、25人に1人の割合で住宅ローンの返済に問題を抱えていることが分かります。
つまり、コロナ禍という想定外の事態がない時期でも、住宅ローン破綻は誰にでも起こり得る身近に潜む問題だったのです。こうした問題をコロナ禍が一気に表面化させたに過ぎません。