「脱労働集約」の最重要課題は「省人化」と「標準化」
中小製造業は物流DXでどこに注目して取り組むべきでしょうか。それを知るためには、これまで物流分野で起きてきたイノベーションについて知っておく必要があります。
物流分野では過去に大きなイノベーションが3回起きています。それらはロジスティクス1.0~3.0といわれています。そして今回の物流DXはロジスティクス4.0に位置づけられるものです。
最初のイノベーション「ロジスティクス1.0」は、鉄道の出現がきっかけでした。それ以前は馬や船などを利用した運搬が基本でした。しかし、蒸気機関車の登場で鉄道輸送が可能になり、大量輸送時代の幕が開けたのです。
「ロジスティクス2.0」は、荷役の機械化により起こりました。荷物を運搬するには仕分けしたり、積み込んだりしなければなりません。当時は人間が手作業で行っていましたが、大量に処理するには限界があります。そこでフォークリフトやパレットが登場し、荷役を効率化できたのです。
「ロジスティクス3.0」は、コンピュータの普及によって起こりました。1980年代になってコンピュータが普及すると、物流の世界にはWMSが導入されました。これにより、倉庫内の商品の管理が正確になるとともに、入荷、保管、ピッキング、検品、梱包までの一連の作業がトータルで管理できるようになり、倉庫管理がデジタル化されました。
そして現在進みつつある物流DXが「ロジスティクス4.0」です。「ロジスティクス4.0」の本質は「省人化」と「標準化」です。これにより人的リソースに依存しない「脱労働集約」を目指しています。
「省人化」は人の仕事をロボットやITで自動化するイノベーションであり、「標準化」は必要となるオペレーションやデータの規格などでより良い選択をし、その選択結果を標準とすることで、統一、単純化を図ります。
つまり、「標準化」が「省人化」を実現するうえでのベースとなり、この2つはセットで検討する必要があります。