ニュージーランド中銀、予想外の据え置きの理由と今後 (※写真はイメージです/PIXTA)

ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は7月の会合で大規模資産購入プログラムとして最大1000億NZドル規模で実施してきた量的緩和(QE)を7月に停止するなど金融政策引締めに前向きでした。今回はNZ中銀による利上げが予想されていましたが、新型コロナウイルスへの対応で見送られました。ただ、引き続き引締め姿勢を維持していると見られます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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ニュージーランド中銀:新型コロナ懸念で、市場予想に反し政策金利を据置き

ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は2021年8月18日、政策金利を過去最低の0.25%に据え置くことを決定しました(図表1参照)。

 

 日次、期間:2018年8月20日~2021年8月18日(日本時間正午) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]NZドル(対米ドル)レートと政策金利の推移日次、期間:2018年8月20日~2021年8月18日(日本時間正午)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

エコノミストの市場予想では大半が0.25%の利上げを予想していました。一部は据え置きを予測した一方、0.5%の利上げを予想したのは少数でした。

 

NZ中銀は声明で、今回の据え置きの理由として新型コロナウイルスの新規感染者が確認されたため、全国的なロックダウン(都市封鎖)が導入された点を指摘しています。

どこに注目すべきか:QE停止、据置き、失業率、賃金、ロックダウン

NZ中銀は7月の会合で大規模資産購入プログラムとして最大1000億NZドル(約7兆7500億円)規模で実施してきた量的緩和(QE)を7月に停止するなど金融政策引締めに前向きでした。今回はNZ中銀による利上げが予想されていましたが、新型コロナウイルスへの対応で見送られました。ただ、引き続き引締め姿勢を維持していると見られます。

 

まず、NZ中銀が引き締めを支持する背景となっている経済指標を確認します。NZの経済成長は回復傾向であるうえ、消費者物価指数(CPI)は21年4-6月期が前年同期比で3.3%となっています(図表2参照)。NZ中銀のインフレ目標(2%±1%)を上回る水準です。

 

 四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]NZのインフレ率とGDP(国内総生産)成長率の推移四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

また、声明文でも指摘されているように、雇用市場も全般に回復しています。例えば、8月の月初に発表された失業率は21年4-6月期が4.0%と新型コロナ前の水準に低下しています(図表3参照)。また賃金も上昇傾向であることがうかがえます。

 

四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、平均賃金は前期比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]NZの失業率と平均賃金(民間)の推移 四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、平均賃金は前期比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

このような中、NZ中銀は今回の会合でエコノミストの予想に反し政策金利を据え置きました。理由は厳格なロックダウンの導入とデルタ変異株の感染拡大懸念です。

 

ニュージーランドのアーダーン首相は17日、NZ最大の都市オークランドで新型コロナの新規感染者が1人確認されたため、全国的なロックダウン(都市封鎖)を導入すると発表しました。ロックダウンはオークランドと新規感染者が滞在していたコロマンデルで7日間、他の地域で3日間実施するとされ、最も厳しいレベル4のルールが適用となります。そのため必要不可欠なサービスを除き、学校やオフィス、全ての企業が閉鎖される厳しい処置で、景気への影響が懸念されるとして、NZ中銀は利上げを見送りました。

 

為替市場を見ると小動きで、今回のロックダウンに対して反応の早い為替市場は既にいち早く据置を織り込んでいた印象です。また、声明でインフレ率上昇のリスクへの対応として金融政策の縮小が最も後悔の少ない政策という認識で一致したと述べるなど、今回の据置きは一時的な様子見で、利上げ方針を維持していると見ています。このようなNZ中銀の姿勢も、NZドルの下支え要因と思われます。

 

新型コロナに厳格なロックダウンで対応するNZや中国の姿勢は欧米や日本と異なるようにも思えますが、何が良い対応方法かについて正解を探し求めている段階と思われます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ニュージーランド中銀、予想外の据え置きの理由と今後』を参照)。

 

(2021年8月18日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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