(※写真はイメージです/PIXTA)

情報通信技術の進化により、住む場所に関係なく仕事ができるようになりました。ビジネスパーソンにとっては「仕事の未来」を予測して行動するのも重要な生存戦略になるでしょう。今後より需要が高まると考えられるのは、どんな仕事なのでしょうか? ※本記事は、谷本真由美氏の著書『日本人が知らない世界標準の働き方』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

ここ30年間で「食いっぱぐれない職業」は激変

仕事の未来はどのように予測したらよいのでしょうか? 「仕事の未来」に関する様々な書籍が出ていますが、私が薦めたいのは、(1)数年にわたって仕事の動向を「定点観測」(定期的に観測する)しているレポートと、(2)数値データを収集して調査研究した学術研究です。

 

(1)の定点観測したものとしては、『The Jobs Rated Almanac: The Best Jobs and How to Get Them』(iFocus Books)という書籍があり、同書は、2015年度版で730ページ近くある分厚い辞書のような本で、電子書籍版も出版されています。1988年から、仕事について、各種の評価を定点的に実施しています。アメリカにおける最高の仕事と、最低の仕事、それらの中間年収や仕事の将来性、どうやったら就職できるか、という情報をまとめたものです。

 

この書籍の一番面白いところは、30年近くにわたって、定点観測しているため、時代の移り変わりにより、仕事の報酬や将来性の推移がわかることです。

 

例えば、2002年には編集者の仕事というのは、上から数えて31番目に良い仕事でしたが、2014年には139位です。2015年にはさらにランクが低下し、なんと最下位の200位になってしまいました。

 

デジタル革命とインターネットの普及により、出版業界の収益構造は悪化し、編集者の仕事がどんどん減っているのがその理由です。同書は、近年の仕事の変化は、主に、通信技術の変化により引き起こされている、としています。

 

このような変化は、決してアメリカ独自のものではありません。グローバルに起きている変化とリンクしています。

 

また、仕事の推移を丹念に見ていくと、親や親戚など、かつては現役だった人々が置かれていた仕事の環境や、そのやり方というのが、今では大きく変わってしまっている、ということがよくわかります。かつては有用だったかもしれない大先輩たちのアドバイスも、職業選択に関しては、今はまったく役に立たないのです。

 

また同書の良い点は、職業ランキングが漠然とした「人気度」で作成されているわけではなく、「就労環境」(感情的な環境、物理的環境)、収入、仕事の需要の伸び、収入の伸び、失業の可能性、ストレスなど、仕事自体の質も含め、全体的に評価されている点です。

 

職業や会社の名前にとらわれてしまい、その仕事が、自分の生活をどのように変えるのかには、注意を払わない人が多いのですが、ストレスや労働時間は、その仕事の継続性と深く関わるので、将来性を考える上で、十分に考慮しなければなりません。

次ページアメリカの「最高の仕事」ランキング第1~10位
日本人が知らない世界標準の働き方

日本人が知らない世界標準の働き方

谷本 真由美

PHP研究所

「働き方」にこれほど悩むのは日本人だけ⁉ 好評ロングセラー、『日本人の働き方の9割がヤバい件について』を大幅に加筆してアップデート! 日本、イギリス、アメリカ、イタリアの現地組織での就労経験を持つ著者が、海…

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