(※写真はイメージです/PIXTA)

働き方が急速に変わりつつある中でも、日本の「年功序列」は健在です。老後不安が大きく叫ばれるようになった現代において、長く勤めていれば昇進・昇給するシステムに安心感を覚える人も少なくないでしょう。しかし、このような忠誠心・協調性を求める働き方は、労働者にとっても組織にとっても「リスクでしかない」という事実をご存じでしょうか。※本記事は、谷本真由美氏の著書『日本人が知らない世界標準の働き方』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

先進国で増えている「ミュージシャンのような働き方」

今や多くの先進国では、会社というのは、働く人々が短期間の間に集まって何かをやる場に過ぎなくなってきています。

 

これは、ハードロックの世界でたとえるならば、Damn Yankees(ダム・ヤンキース)というバンドのようなものです。

 

このバンドは、当時、ハードロック界で大成功した様々なバンドのミュージシャンが、短期間一緒に活動する予定で集まった「プロジェクト」でした。バンドを構成するのは、ボーカリスト、ドラマー、ギタリスト、ベーシスト、キーボーディストなど、個々人が異なるパートを担当し、一緒に仕事して音を作るという活動ですが、何か特別なことをしたい場合は、普段活動しているバンド以外に短期間のプロジェクトを組んで活動することがあります。

 

先進国では、職場でも働く個々人が、ミュージシャンのような働き方をする例が増えています。大規模な生産手段(工場など)が必要な製造業や、政府、小売業などでは難しいですが、どこでも働けて、仕事するのに機械も敷地もいらない知的産業の場合は、短期のバンドのような働き方が容易です。

 

例えば、太陽熱発電の効率性を計算するコンサルティングプロジェクトを受注したが、社内に数値試算を行う専門家がいない場合は、プロジェクトの間だけ、個人コンサルタントや、他社の人、大学の研究者などを雇ってプロジェクトをこなします。こういう働き方は、ソフトウェア業界や携帯電話業界、金融業界、ウェブ業界では、当たり前になっています。

 

このような働き方だと、会社側は、その時々に専門家だけ雇えばすむので人件費やオフィスの維持費などの固定費が減ります。人員調整も容易です。雇われる方は、自分の専門に合わせて、高い報酬を得られるプロジェクトを選ぶことが可能です。

 

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日本人が知らない世界標準の働き方

日本人が知らない世界標準の働き方

谷本 真由美

PHP研究所

「働き方」にこれほど悩むのは日本人だけ⁉ 好評ロングセラー、『日本人の働き方の9割がヤバい件について』を大幅に加筆してアップデート! 日本、イギリス、アメリカ、イタリアの現地組織での就労経験を持つ著者が、海…

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