2021年4~6月期実質GDP(第1次速報値)について (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

4~6月期実質GDP成長率は前期比年率+1.3%、2四半期ぶりプラス成長

 

設備投資は前期比増加。個人消費も予想外の増加に。サービスが前期比増加

 

輸出は前期比増加だが、輸入前期比の伸び率が高く、外需寄与度はマイナス

 

 

●21年4~6月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.3%、前期比年率+1.3%と2四半期ぶりのプラス成長になった。また21年4~6月期第1次速報値では、名目GDP成長率は前期比+0.1%、前期比年率+0.2%である。名目GDPの季節調整値は545.95兆円で直近のボトムだった4~6月期の510.84兆円と比較すると35.12兆円高い水準だが、直近のピークだった19年7~9月期の562.94兆円からは16.99兆円低い水準になった。

 

●ESPフォーキャスト調査8月調査(回答期間:7月30日~8月6日)では、4-6月期の実質GDP成長率の平均予測値は前期比年率+0.66%と、7月調査の+0.19%から上方修正されていたが、実際は同+1.3%とさらに高い伸び率になった。

 

●4~6月期のかなりの期間は、東京都や大阪府などに緊急事態宣言が出ていた時期と重なり、飲食店の営業時間短縮や大型商業施設休業などの措置がとられたものの、4~6月期の実質個人消費は前期比+0.8%の増加になった。オンラインでの購入や巣ごもり消費需要などが多かったのだろう。実質家計最終消費支出の前期比は+0.9%の増加だった。

 

●実質国内家計最終消費支出の前期比は+0.9%の増加である。その内訳をみると、減少は非耐久財だけで、前期比は▲0.6%と2四半期ぶりの減少に転じた。耐久財の前期比は+0.4%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前期比は+1.9%で、こちらも2四半期ぶりの増加になった。サービスの前期比は+1.5%と2四半期ぶりの増加となった。なお、実質雇用者報酬は前期比▲1.4%と4四半期ぶりの減少になった。

 

●実質住宅投資は前期比+2.1%と20年10~12月期の+0.0%の微増も加え、3四半期連続の増加になった。

 

●設備投資は前期比+1.7%と2四半期ぶりの増加になった。名目の前期比(季節調整済み)は+2.3%と2四半期ぶりの増加である。名目の前年同期比は+4.0%と6四半期ぶりに増加に転じた。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、4~6月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲13.8%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲31.5%であると公表された。法人企業統計が出た時に前年同期比が▲31.5%程度より高いかどうか比較することで、4~6月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となろう。

 

●民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.1%、流通品在庫は前期比寄与度0.0%となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。

 

●実質政府最終消費支出は前期比+0.5%の増加だった。また、実質公共投資は前期比▲1.5%と2四半期連続の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%であった。公的需要の前期比寄与度は0.0%だった。

 

●4~6月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.3%と2四半期連続のマイナス寄与になった。輸出が伸びたが、控除項目の輸入がそれ以上に伸びたためだ。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ世界経済が持ち直し基調にあるため、実質輸出は前期比+2.9%と4四半期連続の増加になった。財は前期比+2.9%と4四半期連続の増加になった、サービスは前期比+3.3%と3四半期連続の増加になった。実質輸入の前期比は+5.1%と3四半期連続の増加になった。財に関しては前期比+4.4%と3四半期連続の増加となった。新型コロナワクチンの輸入も含まれていよう。サービスは前期比+7.1%と2四半期連続の増加になった。

 

●4~6月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.7%と2四半期連続の下落になった。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.6%と3四半期ぶりの上昇になった。控除項目の輸入のデフレーターは前年同期比+20.5%の大幅上昇になった。一方、4~6月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは▲0.3%、国内需要デフレーターは+0.1%になった。

 

●「令和3年度の経済見通し」の21年度実質GDP成長率見通し・前年度比+4.0%を達成するには、21年度残り3四半期で各々前期比年率+3.7%(前期比+0.92%)が必要である。20年度から21年度へのゲタは+1.9%である。なお、21年度残り3四半期が前期比+0.5%だと21年度実質GDP成長率・前年度比は+3.0%になる。21年度各四半期が前期比+1.0%だと21年度実質GDP成長率・前年度比は+3.8%になる。

 

 

●また、9月8日公表予定の1~3月期第2次速報値では、9月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や民間在庫変動が改定される。

 

●法人企業統計では民間在庫変動の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は原材料在庫、次のマイナス寄与は流通在庫、そして仕掛品在庫がプラス寄与で、一番大きなプラス寄与は製品在庫ということだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年4~6月期実質GDP(第1次速報値)について』を参照)。

 

(2021年8月16日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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