(※写真はイメージです/PIXTA)

かつては「開業すれば何もしなくても儲かる」と言われていた歯科業界ですが、人口減少により患者が減り続けるなかでは、経営力なくして生き残ることはできません。差別化の1つとして、夜遅い時間帯に診療することで増収・集患を狙う歯科医院は少なくないでしょう。ところが、むしろ診療時間を短縮したり、夕方早々に閉院したりすることで収益・患者数ともに増えた医院があることをご存じでしょうか。成功している歯科医院の経営戦略を見ていきましょう。

診療時間を短縮した結果、むしろ「収益増・患者数増」

私も少し前に大病を患いました。それで私自身も病気と真剣に向き合うようになり、医者の言いつけは必ず守るようになりました。例えば、言われた時間にはなんとしても病院に行きます。

 

必要なのだから「時間をつくる」、いわば患者教育のできる、つまりは信頼される医院にしなければいけないと思いました。それも、遅くとも19時までに医院を閉めようと決断する決め手の一つでした。

 

口の中の重要性をしっかりと分かってもらって、必要なときに何がなんでも来てもらう。そういう状態にしなければいけないのです。結果、真剣に考えて自由診療を選ぶ患者さんは18時や17時までの間にちゃんと時間をつくって来てくれる人なのです。

 

そのため診療時間を短縮したところ、むしろ収益は上がりました。しかも、なぜか患者さんの人数も増えました。

 

患者さんの意識も高くなったのですが、もっと意識が高くなったのがスタッフでした。拘束時間が短くなったことで余裕ができる。だから早く終わった日には、そのあとで少し勉強しようと思うスタッフも増えました。いくらこちらから「勉強しろ!」とはっぱをかけたとしても、残業もして体を酷使したあとでは疲れていて勉強などできるわけもないのです。

 

特に若くて勉強が必要な人は、早く帰って勉強したいと思うはずです。それなのに、忙し過ぎて勉強する暇もないとなると、熱心な人間は辞めてしまいます。その気のない人だけが残ってしまうかもしれません。

 

こちらとしては、できるだけ勉強熱心でセミナーに行きたいくらいに思うスタッフが増えてくれるのを待っているわけです。だから、そのためにも拘束時間はできるだけ短くして、勉強する時間と心の余裕をつくってあげるべきなのです。そうすることで皆の能力が上がります。逆に仕事で疲れてしまえば、たまの休みも寝て過ごしてしまうか、個人の用で終わってしまいます。それでは人材は育ちません。

短時間で高収益を上げるには…時給換算すればわかる

経営としては「短い時間で高い収益を上げる」をモットーとしています。働くスタッフにしてみれば、もちろんやり甲斐や給与も大事でしょうが、時間が大切なのです。特に若い人たちにとっては、時間こそが最も大事なものなのです。

 

だから、転職の面接などの際に、「これまでこのくらい給料をもらっていました」と言う人にはいつも、「時給換算してみて」と言います。

 

例えば、これまで他院で27万円くらいの月給をもらっていた歯科衛生士さんがいました。同世代のうちのスタッフの月給は24万円くらいでしたが、応募してきた歯科衛生士さんは時給換算すると1200円くらいだったのに対して、うちの衛生士の時給換算は2000円以上でした。

 

さらに、能力を認める人にはボーナスにその分を反映して年収で報いるようにしています。役職を上げていくという方法も取っています。

 

次ページ「スタッフと食事会を開くなら、業務時間内で」

※本連載は、河野恭佑氏の著書『歯科医院革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

歯科医院革命 大廃業時代の勝ち残り戦略

歯科医院革命 大廃業時代の勝ち残り戦略

河野 恭佑

幻冬舎メディアコンサルティング

コンビニエンスストアを1万軒以上も上回る歯科診療所の施設数。 一方で少子化によって患者は年々減少し、過当競争が激化しています。 年間で1600軒もの施設が廃業し、「大廃業時代」といわれる歯科業界で生き残っていく…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録