(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの歯科医院では、やはりスタッフ教育にいちばん頭を悩ませているようです。歯科医院向けのセミナーでも大半がスタッフ教育やチームビルディングをテーマとする講演が多いことがその証左です。歯科医院のチームづくりを成功させるには、どうすればよいのでしょうか? 5年間で25医院を開業した筆者が成功ノウハウを解説します。

「相手の長所10個」を挙げると、人間関係が良くなる

チームづくりの成功の秘訣はいくつかあると思いますが、私がいちばん大切にしているのは、人の良いところを見つけるようにするということです。

 

悪口が始まると、ずっと悪いほうだけ見るようになってしまうので、この点はすごく重要だと思っています。

 

私がこう思うようになった原点は小学生の頃の授業でした。その先生は当時24歳で自分たちが初めての生徒でしたが、とても情熱のある方で、その先生が「友達の良いところを見つけよう」という取り組みを始めたのです。日によって誰と誰と決めて、その友達の良いところをクラスメート全員が10個ずつ書くというものでした。書き上がったものを先生がまとめて、本人にあげるのです。これをもらった時、とてもうれしかったことを今でも覚えています。

 

 

その人の良いところを見つけて教えてあげる行為は、たとえそれまでギスギスした関係性があったとしても、そうしたマイナスの感情はなくなります。当人のストレスも軽減されます。

 

多くの人は、どちらかといえば悪口を言い合うほうが多いでしょう。悪いところを見つけては言い立てるという傾向があります。関係性が悪化するとそうなります。そうなれば環境は悪くなり、皆のテンションが落ちていきます。

 

そんな職場にはしたくありません。スタッフにいらぬストレスが生じれば、それは必ず患者さんに伝播します。そんな場所に、誰も来たいとは思わなくなります。

 

そうではなく、積極的にフォローし合うこと、もちろん、フォローは最低限です。フォローする必要があるというのは決していい状態ではないからです。そうではなく、掛け算になる組織づくりが理想です。良いところを見つけるだけで、人生は幸せになります。

スタッフの責任感が「良い組織」を作る

スタッフにいちばんもってもらいたいものが責任感です。

 

「あなた一人だってかけてはだめなんだ。もしいなくても何も変わらないとすれば、あなたの存在意義がない。あなたがあなたの役割をちゃんと果たせば、あなたが目的で来る患者さんも増えてくる」といつもスタッフに言っています。「自分がいないとこの医院は回らない」という意識でやってほしいのです。

 

そうすれば、見えてくる景色が違ってきます。その景色が見えたときに、一人ひとりが主役になれるのです。

 

すべて一対一の時間をもつことから始まります。話し込むことから始まります。厳しいことを言っても、正しいことであれば人は辞めません。この人に付いていきたいと思わない限り、皆、結局は辞めていってしまいます。そのためにも、自分を磨き続けなくてはいけません。

 

男女同権の世の中ですが歯科医院の受付や歯科衛生士は女性のほうが多く、歯科医院の多くは女性社会で成り立っています。規模が大きくなれば、女性社会で派閥ができてしまいます。そこにぎくしゃくした関係が生まれ、ドクターがまいってしまう原因になります。

 

転職希望の方の面接で出てくる話題は、もちろん給与のことがいちばん多いですが、それ以外では、組織内の人間関係を気にします。そのときに私は自信をもって言えるのです。「すごくいい」と。

 

何が良いかといえば、なれ合いがないのです。良くない組織というのは、一見すると仲が良くて、ミスが出たときもかばい合う組織です。その代わり、陰で悪口を言う。本当に仲が良いのかという話になる。良い組織というのは、誰かがミスをしたときはすぐに指摘・報告ができる組織です。そのうえで同じミスが起こらないように皆でカバーし合うような組織です。

 

だから私は「ミスが出たらすぐに報告しろ」と言います。そして、「二度と起こらないように考えろ」と指示します。だから報告してきたスタッフは叱りません。また、誰もミスをした人間を責めませんし、仲も悪くなりません。なぜ、そうした組織ができ上がるのか。皆が責任感をもって仕事に臨んでいるからです。

 

 

河野 恭佑

医療法人社団佑健会 理事長

株式会社デンタス 代表取締役社長

 

 

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※本連載は、河野恭佑氏の著書『歯科医院革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

歯科医院革命 大廃業時代の勝ち残り戦略

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河野 恭佑

幻冬舎メディアコンサルティング

コンビニエンスストアを1万軒以上も上回る歯科診療所の施設数。 一方で少子化によって患者は年々減少し、過当競争が激化しています。 年間で1600軒もの施設が廃業し、「大廃業時代」といわれる歯科業界で生き残っていく…

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