「収益不動産の購入」「持株会の設立」…株式移転コストを抑える事業承継術【税理士が解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

事業承継では、自社株の評価額を下げることにより、株式移転コストが抑えられます。収益不動産の購入や持株会を活用した株式数の調整など、自社株の評価額を一時的に下げるための方法と注意点を詳しくみていきましょう。

【関連記事】令和日本「大相続時代」の到来…無策が招く「高額納税」の悲劇

収益不動産を購入して「純資産の圧縮効果」を期待

会社の規模などによって、自社株式の評価方法として純資産価額方式のみが適用される場合は、利益や配当金が変動しても類似業種比準方式と比べて、株価に大きな影響を与えません。

 

では、純資産価額方式が用いられる場合で、株価が変動するのはどんなタイミングかというと、資産の内容や相続税評価額が変動するタイミングです。

 

その典型的な例が、現預金(場合によっては融資も)を使って収益不動産を購入したことによる資産評価額(=純資産価額)の変動です。

 

会社が保有する不動産は、その購入から3年を経過すると相続税評価額で評価されます。ご存じの読者も多いでしょうが、土地の相続税評価は原則として「路線価」での評価となり、時価(市場で売買される実勢価格)の0.8倍程度とされるのが一般的です。

 

また、建物の相続税評価額については固定資産税評価額となります。これは地域によっても異なりますが、時価の60%程度の評価額になることが多いでしょう。

 

仮に2億円を現金として持っていれば「2億円」として評価され、それが純資産価額に反映されるのに対し、1億円の土地を購入して1億円の建物を建てた場合、それぞれ8000万円、6000万円と評価されるので、相続税評価額が6000万円下がるというわけです。

 

さらに、収益不動産として賃貸する場合は、土地は「貸家建付地」として評価が下がり、また建物も「貸家」としての評価減がなされます。細かくなるので計算は省きますが、ざっくりいって現金での保有に比べ、半分程度の評価額になります。

 

さらに、この収益不動産物件の購入に際して、融資を利用して、保有現金以上の価格の物件を購入すれば、純資産の圧縮効果はより大きくなります。結果として、純資産価額が数分の1から、場合によっては10分の1以下にまで下がるでしょう(簡便化のため、賃貸事業による収益は無視します)。

 

ただし、保有不動産が相続税評価額で評価されるのは、不動産購入後3年経過後以降である点にはくれぐれも注意が必要です。購入後3年以内に株式の移転があった場合は、時価(≒購入価格)で評価されるため、効果はほとんどありません。

 

また、収益物件自体には、事業リスクがある点も忘れてはいけません。特に融資を受けて物件購入をした場合には、予定どおりに賃貸収入が入らなければキャッシュフローが悪化し、経営に悪影響を及ぼすような本末転倒の事態にもなりかねません。

\\12/4開催//
「フィリピン×シンガポール」世界の富裕層が実践する資産保全術

相続税を専門に取り扱う珍しい税理士事務所。年間1,500件(累計7,000件以上)を超える相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスを誇り、中小企業オーナー、医師、地主、会社役員、資産家の顧客層を中心に、低価格で質の高い相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策提案等を行なっている。各種メディアやマスコミから取材実績多数有り(※写真は代表社員 荒巻善宏氏)。

税理士法人チェスター http://chester-tax.com

著者紹介

連載税理士法人が解説!オーナー社長が頭を悩ませる「事業承継」成功の秘訣

オーナー社長の悩みを解決! 事業承継成功の秘訣52

オーナー社長の悩みを解決! 事業承継成功の秘訣52

税理士法人チェスター

幻冬舎メディアコンサルティング

帝国データバンクによると、2020年の社長の平均年齢は過去最高で60歳、後継者不在率が65%となりました。社長平均年齢の上昇は、第一線で活躍し続ける社長の多さを示唆する反面、事業承継の課題が浮き彫りにしています。 し…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!