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収益不動産を購入して「純資産の圧縮効果」を期待
会社の規模などによって、自社株式の評価方法として純資産価額方式のみが適用される場合は、利益や配当金が変動しても類似業種比準方式と比べて、株価に大きな影響を与えません。
では、純資産価額方式が用いられる場合で、株価が変動するのはどんなタイミングかというと、資産の内容や相続税評価額が変動するタイミングです。
その典型的な例が、現預金(場合によっては融資も)を使って収益不動産を購入したことによる資産評価額(=純資産価額)の変動です。
会社が保有する不動産は、その購入から3年を経過すると相続税評価額で評価されます。ご存じの読者も多いでしょうが、土地の相続税評価は原則として「路線価」での評価となり、時価(市場で売買される実勢価格)の0.8倍程度とされるのが一般的です。
また、建物の相続税評価額については固定資産税評価額となります。これは地域によっても異なりますが、時価の60%程度の評価額になることが多いでしょう。
仮に2億円を現金として持っていれば「2億円」として評価され、それが純資産価額に反映されるのに対し、1億円の土地を購入して1億円の建物を建てた場合、それぞれ8000万円、6000万円と評価されるので、相続税評価額が6000万円下がるというわけです。
さらに、収益不動産として賃貸する場合は、土地は「貸家建付地」として評価が下がり、また建物も「貸家」としての評価減がなされます。細かくなるので計算は省きますが、ざっくりいって現金での保有に比べ、半分程度の評価額になります。
さらに、この収益不動産物件の購入に際して、融資を利用して、保有現金以上の価格の物件を購入すれば、純資産の圧縮効果はより大きくなります。結果として、純資産価額が数分の1から、場合によっては10分の1以下にまで下がるでしょう(簡便化のため、賃貸事業による収益は無視します)。
ただし、保有不動産が相続税評価額で評価されるのは、不動産購入後3年経過後以降である点にはくれぐれも注意が必要です。購入後3年以内に株式の移転があった場合は、時価(≒購入価格)で評価されるため、効果はほとんどありません。
また、収益物件自体には、事業リスクがある点も忘れてはいけません。特に融資を受けて物件購入をした場合には、予定どおりに賃貸収入が入らなければキャッシュフローが悪化し、経営に悪影響を及ぼすような本末転倒の事態にもなりかねません。
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