※写真はイメージです/PIXTA

自社株の評価を下げて株式を移転するには何をすればいいのでしょうか。本記事では、オペレーティングリース商品を活用して利益(所得)を減らす方法、そして自社株評価に影響を与える「配当金」について解説していきます。

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事業承継には「オペレーティングリース商品」を活用

オペレーティングリースとは、産業用資産などで用いられるリース方式のことです。航空機や船舶など、数十億から数百億円になる高額な産業用資産を購入し、オペレーティングリースによって貸し出すことで収益化するというビジネスへの出資を、小口化(1口1000万円など)して投資商品化したものが、オペレーティングリース商品です。

 

その仕組みを簡単にまとめると、まずオペレーティングリース商品の販売会社が匿名組合を組成します。投資家は匿名組合に出資します。組合はあわせて銀行から融資も受け、その資金で航空機会社から航空機を購入して、航空会社にリースします。

 

匿名組合は、受け取ったリース料から得られる収益を投資家に分配します。投資期間は7~10年程度で、その期間全体としては、リース収益額と出資金額に応じて、一定の投資収益が得られます。

 

では、このオペレーティングリース商品がなぜ効果があるのでしょうか? それは、定率法による減価償却の仕組みが関係しています。定率法では、最初の年度に大きく減価償却費が計上され、以後、計上金額が減っていきます。

 

例えば10億円の資産購入に対して初年度に7億円、2年目に3億円の減価償却費を計上するといった具合に、投資期間の初期に大きく計上できます。

 

一方、リースから得られる収入は、投資期間を通じて毎年一定です。融資を受けてレバレッジをかけていること、法定耐用年数に基づきリース期間を設定していることなどにより、初年度には減価償却費がリース収入を大きく上回り、大きなマイナス(赤字)が計上されます。

 

この赤字は、出資額に応じて按分され、出資した会社において、会計上は費用、税務上は損金として計上されます。つまり、利益(所得)が減るのです。

 

なお、毎期の減価償却費が減少していくにつれて、リース事業が順調に進めば毎年利益(所得)が生じます。その分は課税されるので、トータルとして見れば「節税商品」というわけではありません。

 

オペレーティングリース商品には注意点もあります。まず、事業への投資なので事業リスクがある点です。実際、コロナショックの2020年には航空会社の経営破綻があり、その後も長期にわたって航空機の需要は低迷しています。

 

また、海外で組成される商品が多く、その場合は収益に為替リスクが存在することも、覚えておいたほうがいいでしょう。

 

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