※写真はイメージです/PIXTA

事業承継において、後継者へ株式を移転する際、自社株式の評価を一時的に下げることで移転コストを抑えることができます。自社株の評価を事業承継のタイミングに合わせて下げるにはどうすればいいのか、みていきます。

「回収不能売掛金」などの不良債権を処理する

商品の掛販売後、督促を繰り返しても長期間入金されていない売掛金や、返済期日を過ぎても長期間返済されない貸付金など、いわゆる不良債権がある場合は、適切に貸倒損失処理することで利益を減らすことができ、結果的に株価が下がる可能性があります。

 

「貸倒損失」とは、売掛金や貸付金、立替金など、貸借対照表上、資産として計上されている債権が、回収不能であると明らかになったとき、それを損失として計上するための勘定科目です。計上された貸倒損失は、税務上損金となり所得を減らせます。

 

債権を放棄すること自体は、会社の一方的な宣告で可能であるため、それをすべて貸倒損失として認めてしまうと、所得の操作となる可能性があります。そこで、次のような明確な基準が定められています。

 

これらの基準に合致しないのに貸倒損失を計上した場合、相手への寄付と見なされて損金への算入が否認されることがあるので注意が必要です。

 

1.法律の規定による貸倒れ

 

債務者(取引相手)が倒産(会社更生法や民事再生法が適用される)した場合などが典型的です。これらの場合は、債権者(自分の会社)に、債権の切り捨て金額が通知されますので、その通知された金額を貸倒損失として計上できます。

 

また、取引先において債務超過の状態が相当期間継続し、今後も改善しそうにない場合も含まれます。この場合は、証拠として決算書などの書類が必要です。また、内容証明郵便等により、これだけの金額を債務免除しますと相手に書面で通知する必要があります。

 

2.事実上回収不能の貸倒れ

 

債務者の資産状況、支払能力などから見て、債権の全額が回収できないことが明らかになった場合です。この場合も根拠となる債務者の状況の資料が必要です。

 

3.一定期間取引停止後、弁済がない場合等の貸倒れ

 

継続的な取引をしていて売掛金が残っている債務者との取引を停止してから1年以上経過した場合、または、少額の売掛金で、取り立てにいく旅費などの費用のほうが多くなる場合(支払い督促は必要)です。

 

この3.の項目は、売掛金のみに適用され、貸付金の場合は該当しません。

 

社歴の長い会社には、不良債権化している資産が残っていることはよくあります。金額が大きくなくても、株価が下がるタイミングとあわせて確認しておくのはよいことです。

 

 

税理士法人 チェスター

 

 

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