(※写真はイメージです/PIXTA)

ミスコンの審査では様々な美が求められる。「歯」の美しさ・健康もその一つだ。一方で昨今、そうしたルッキズムに対して風当たりが強いのも事実である。今回、ミスコン出場者の大会におけるサポートを行った経験がある持丸みずき歯科医師に当時の話を聞いた。ミスコンのサポートを通じて見えてきた日本人の歯に関する問題点、歯科医院の社会的課題とは。華やかなミスコンの舞台裏から見える、現代日本の医療の変わりゆく姿にせまる。

ミスコンの地方大会には医師が協賛するのが現状

私は以前、「BEST OF MISS SAITAMA」というミスコンのビューティーキャンプにて講師を務めていたことがあります。

 

ミスコン出場者のサポートというと、ウォーキングや、メイクを真っ先に思い浮かべる方も多いはずです。

 

実は世界的なミスコンである、ミスユニバース・ジャパンの審査では、外見の美しさだけでなく、人間性・感性・内面の美しさ・自信・知性の5つが基準となります。そして、その基準をクリアするには、歯の健康、美しさ、肌のケア、メイク、話し方など、あらゆる角度からの指導が必要とされるのです。

 

つまり、歯科医による「美」へのサポートも、笑顔を重視するミスコンにおいて重要な役どころとなります。実際に、各地方大会では1~2名の医師、歯科医師が、ビューティーキャンプなどを通し健康や美についてのレクチャーを行っています。

批判もある中、ミスコンが開催され続ける理由

1970年ごろから、ルッキズムという言葉が社会に定着しました。いわゆる「外見至上主義」というものです。もちろん、これに対しては賛否両論が飛び交い、そして、その矛先は当然ミスコンにも波及しました。

 

ミスコンには「美の基準」があり、どうしてもその基準で人を判断したり、評価したりするため、そこを問題視する層が一定数いたわけです。しかし、不思議なことに、ミスコンに対するルッキズム批判の後も、世界中でミスコンは行われ続けています。

 

ルッキズム批判に応答しながらも、それを乗り越えるような「新しい美の基準」を打ち立てようとしているのでしょう。

 

そうした「新しい美の基準」に歯科医師の立場から関われるのは貴重な体験だと考えたことが、ミスコンのサポートに踏み切ったきっかけです。幅広い年齢層の方に歯の美しさが健康な生活の礎になることを伝える場になればと考えました。

ミスコンファイナリストの9割が抱える歯の悩み

中国盛唐、杜甫の残した「明眸皓歯」の言葉からも、昔から美しく澄んだ瞳、白く整った歯は美人の例えとされてきました。

 

美の祭典に集った、ミスコンファイナリストたちは皆さん、美意識がかなり高いです。
しかし、そんな彼女たちですら、9割が「歯並び」、5割が「歯の色」に対してコンプレックスを抱いていると話したのです。

 

「大会に出られるとわかっていたら治療していたのに」

「矯正したいけれど本大会まであと1か月だし…」

 

歯の美しさが大切と分かっているはずの彼女たちが、コンプレックスを抱えたまま本選に出場することになってしまった理由。そこにこそ、歯科医院としての社会的課題が隠されているように感じました。

 

 

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