税務調査官の「趣味は何ですか」という質問の真意
「趣味は何ですか」と税務調査官が質問をしてくることがあります。これを単に時間つぶしや間合いを埋めるための世間話だと思ったら大間違い。
じつは生活費を把握するための質問です。同じ意図の質問には次のようなバリエーションがあります。
「ふだん、どこで飲んでいるんですか?」
「休みの日は何をされていますか?」
「取引先と趣味で遊んだりしますか?」
「お子さんの小学校は私立ですか?」
これらの質問にストレートに答えたら、税務調査官の罠にハマってしまっています。
「趣味ですか?旅行が結構好きであちこち行ってるんですよ」
「ご家族で行かれるんですか?」
「毎月一回、家族全員で国内旅行にいくんですよ」
「ほー、どのあたりに?」
「温泉旅館が好きですね。露天風呂の後の地酒が最高で……」
4人家族で国内旅行をしてちょっといい旅館に1泊すると、ガソリン代やおみやげ代なども含めれば、1回に20万〜30万円くらいはかかります。毎月だとすると、12倍すれば年間の旅行費は300万円くらいでしょうか。それだけの金額を趣味に使える所得があるということですよね。
売り上げ=経費+所得(生活費)です。売り上げと経費があいまいな場合は、生活費から所得がどのくらいあるかを見ます。つまり「高額な趣味があれば、所得も当然高い」と把握されてしまうのです。
「趣味はヨットです」「キャバクラが好きで入れ込んじゃってね」「取引先とよく銀座のクラブに行くよ」「最近、車を買い換えたんですよ」「子供は二人とも私立だから授業料が大変で」「妻がブランドもののバッグを買いあさって……」
などなど、本人としては税金とはあまり関係ない話のつもりかもしれませんが「高額所得がありますよ」と自白しているようなものです。
「収入がある」と誤解を与えるようなものは見せない
本人が口を滑らせなくても、家に置いてあるものが動かぬ証拠になってしまうこともあります。高価な趣味のコレクションなど、収入があると誤解を持たれるようなものは、調査官の目につくところに置いておかないことです。
「ほー、これは素晴らしいコレクションですね」
「いいでしょう」
「このシリーズ、私も欲しかったんですよ」
「10年前は儲かっていたから買えたんですよ」
「あれっ? でもこれ、去年出た復刻版じゃないですか」
「あっ」
「10年前に買ったっていうのは嘘ですね? もしかして、所得を隠していたのでは?」
「…………(しまった!)」
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